神村孝太郎

神村孝太郎（かみむら こうたろう）

神村孝太郎は、1897年6月30日に生まれ、1988年6月28日に生涯を閉じた、琉球政府の政治家であり実業家です。琉球政府において、3代目行政副主席を務めたほか、琉球電信電話公社の初代総裁、琉球電力公社の理事、琉台貿易社長など、数々の要職を歴任しました。彼の生涯は、戦後の沖縄の復興と発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

生い立ちと教育

神村孝太郎は、実業家である神村吉郎とませいの長男として生まれました。父・吉郎は琉球砂糖の社長であり、沖縄県農工銀行の創立委員を務めるなど、沖縄経済界の重鎮でした。幼少期から恵まれた環境で育った神村は、1918年に熊本高等工業（現在の熊本大学工学部）に進学します。進学にあたっては、父が決めた許嫁である神田和子と結婚しました。和子は、具志川村（現在のうるま市）出身で、各地で校長を務め、後に具志川村長も歴任した神田千三の娘です。

琉球政府での活躍

1952年、琉球政府が発足すると、神村は初代工務局長に就任しました。1956年には、比嘉秀平主席の下で第3代行政副主席に就任し、その手腕を発揮します。しかし、翌年10月、比嘉主席が急逝すると、後継者争いが勃発。神村も琉球民主党の総裁候補として名乗りを上げますが、米国民政府は主席公選を認めず、結果として当間重剛が第2代行政主席に任命されました。神村は、この人事に不満を抱き辞表を提出しますが、慰留され、結局、翌年12月末まで副主席を務めることとなります。後任には、弁護士の大田政作が就任しました。

政界引退後の活動

1959年、神村は電信電話事業を独占する琉球電信電話公社の初代総裁に就任します。しかし、1963年、大田政作主席がキャラウェイ高等弁務官の強権発動による政界介入を容認したことから、与党内で内紛が勃発。神村は、この騒動に巻き込まれ、総裁を解任されてしまいます。その後、1967年には、沖縄放送協会（現在のNHK沖縄放送局）の設立に際し、経営委員会の委員長として参画。川平朝清を理事長兼放送局長として推薦するなど、沖縄の文化振興にも貢献しました。1972年に沖縄放送協会がNHKに吸収されると、日本放送協会番組地方審議会の委員長に就任し、1997年までその任を務めました。

年譜

1952年：初代琉球政府工務局長に就任
1955年：琉球電力公社理事に就任
1956年：第3代琉球政府行政副主席に就任
1959年：初代琉球電信電話公社総裁に就任
1981年：沖縄県功労者表彰
1988年：逝去（享年91歳）

家族

神村家は、具志川間切天願（現在のうるま市）をルーツとする旧家です。父・吉郎は、琉球砂糖の創業者であり、衆議院議員も務めました。妻・和子は、元具志川村長の神田千三の娘です。長男の孝栄は、琉球放送の報道局長を務めました。

脚注

参考文献
自由民主党沖縄県連史編纂委員会 『戦後六十年沖縄の政情: 自由民主党沖縄県連史』 2005年。
大城将保 『琉球政府ー自治権の実験室ー』 おきなわ文庫 2014年。
川手摂『琉球政府の特別公務員ーその任用と「政治性」の検証』安田記念東京都市研究所 2011年

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