神社神道

神社神道とは

神社神道は、神道の一つの形態であり、主に以下の2つの意味で使用されます。

1. 第二次世界大戦前の「国家神道」の異称：これは、国家神道の項目で詳しく解説されています。
2. 第二次世界大戦後の神社を中心とした信仰形態：氏子や崇敬者などによる組織によって行われる祭祀儀礼を信仰の中心とする形態です。現在では単に「神道」という場合、この神社神道を指すことが一般的です。

神社神道の概要

祭祀の場となる神社は日本各地に数多く存在しますが、1945年までは全ての神社神道に属する神社が内務省の外局である神祇院の管轄下に置かれていました。しかし、1945年12月にGHQによって発せられた神道指令により、「神道の国家管理」は廃止されることになり、神祇院は廃止され、1つの宗教法人として改組され、新たに神社本庁が発足しました。

神祇院の管轄下にあった神社神道約8万社は、神社本庁の発足とともに、

神社本庁の包括下に入ったもの（約7800社）
神社本庁とは別の包括団体をつくり、その包括下に入ったもの
* 単立となったもの

などに分かれました。

神社神道には教典は存在せず、『古事記』や『日本書紀』などの神典にのっとり祭祀を行います。

祭祀の担い手と位階

祭祀の担い手となるのは神職であり、宮司、禰宜、権禰宜、出仕などの役職につき、神事を司ります。「神社神道の巫女」は神職には含まれませんが、「神楽の舞手」として神事に参加することはできます。ただし、神事を主宰・執行することはできません。

神職となるためには「位階」が必要です。位階は、現在では神社本庁が授与する民間の資格で、浄階、明階、正階、権正階、直階の5段階があります。

神職養成課程を設置する教育機関は、大学2校、専門学校・各種学校7校があり、就学年限は1年から4年です。神社本庁とは別の包括団体の傘下にある神社や単立の神社が独自の神職資格を定めたり、自前の「位階」を授与する例はなく、これらの教育機関では「神社本庁の包括下にない神社」や教派神道に属する神社の子弟の受け入れを行っています。

包括組織

かつて神道は神道事務局によって管理されようとしましたが、最終的に神道事務局は神道大教とする教派神道として神社神道とは切り離されました。その後、神社神道は内務省によって管理されましたが、国民精神総動員運動の影響を受け、1940年（昭和15年）には神祇院として独立しました。しかし、直後の敗戦によって目立った成果は上げられませんでした。

戦後は、神祇院の後継組織である神社本庁が最も多くの神社が所属する団体ですが、神社本庁は原則として宗教法人格を有することが加盟の条件であるため、法人格を有しない小規模な祠等はそもそも所属できません。また、宗教法人格を有する神社に限っても、例えば東大阪市は法人格を持つ神社の半数以上が神社本庁未加盟であり、その中には式内社の石切剣箭神社等も含まれています。さらに全国でも、鎌倉宮、靖国神社、伏見稲荷大社、日光東照宮、気多大社、梨木神社、新熊野神社、富岡八幡宮、日前宮など、有名な神社であるにもかかわらず神社本庁の包括下にない例も存在します。

神社本庁以外の包括組織（包括宗教法人）も存在します。誠心明生会には91社、神社本教には78社、神社産土教には72社、北海道神社協会には60社、日本神宮本庁には23社、日本神社教団には15社の神社神道の神社が属しています。

「神社神道」の語の由来

神社神道という言葉は比較的新しく、明治以降、教派神道と区別するためにつくられました。1868年（明治元年）、維新政府は神祇官を設置しましたが、中央集権的体制を強めるためには国家神道政策だけでは足りないとして神祇省を設置し皇道宣布運動を展開しました。

ただ、1882年（明治15年）1月24日には内務省達乙第7号により、「神社神道は宗教ではない」とし、宗教（教派神道・仏教）と祭祀（神社神道）を分離させ、神道は国の祭祀として非宗教とされました。

1899年（明治32年）の宗教法案には神道やキリスト教は含まれていませんでしたが、明治末頃から、教派神道は国家神道と称されはじめました。

1917年（大正6年）になると、日本基督教会が、学生が神社参拝を強制されていることを理由に神社非宗教論を否定しました。さらに強制は憲法の信教の自由に抵触するという不服が申立てられました。

神道やキリスト教を含めない1899年の宗教法案は、3度にわたって議会に提出されるも不成立となっていたところ、その後に法案は名称を変え、1939年（昭和14年）になって神道とキリスト教を対象に含めた宗教団体法が成立しました。ここで神社神道も、神道に含まれる宗教であるとされ、仏教のような教えや戒律こそないものの、第二次世界大戦終結までの間、政府に保護されることとなりました。

さらに、これを国家的神道と称し、そして、「国体神道」と「神社神道」とに細分して説を展開した有力な学者もいました。第二次世界大戦前は、神社神道とは近代になって政府による統制の加わった神社における儀礼・思想・組織を指す言葉であったのです。

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