福岡第一飛行場

福岡第一飛行場の歴史と変遷

福岡第一飛行場（ふくおかだいいちひこうじょう）は、かつて福岡県糟屋郡和白村（現福岡市東区）が位置する雁ノ巣に存在しました。通称雁ノ巣飛行場と言われるこの場は、逓信省航空局によって設立され、民間航空発展の観点から重要な役割を果たしました。特に、大日本航空による朝鮮、台湾、中華民国、満洲国、東南アジアへの路線運航となってからは、その存在は一層際立ち、戦前における日本で最大規模の民間飛行場として知られていました。

沿革の始まり

この飛行場の策定は1929年にまで遡ります。当時、大刀洗陸軍飛行場からの民間定期便が運航されていましたが、その位置は福岡市中心部から遠く、利用者には不便でした。そのため、陸上機の運行が可能な飛行場の建設が必要とされました。調査を経て、1934年に雁ノ巣が新たな立地に選ばれました。

1935年には新たに工事が開始され、おおよそ59万円の総工費をかけて整備が進められ、1936年6月1日に晴れて開港しました。当時の滑走路は600メートル×30メートルのサイズで、将来的には東西550メートル、南北800メートルに拡張されました。福岡から那覇、台北への航路の開設を皮切りに、東京からの急行便も運営されるようになりました。

戦時体制へのシフト

1940年代に入ると、飛行場は軍事的な重要性を増していきます。1939年からは大規模な拡張計画が立てられ、滑走路の長さが800メートル級へと拡充される中、朝鮮、台湾、満洲国への中継地としての役割を強めていきました。太平洋戦争中は海軍航空隊による利用が進む中、実質的に軍用空港として機能しました。

戦後の変化

戦後、福岡第一飛行場はアメリカ軍の管理下に置かれ、ブレディ飛行場として再利用されることになりました。1961年に日米合同委員会により、複合体として雁ノ巣空軍施設に変更され、在日米軍に提供されることが合意されました。1955年には滑走路が1280メートルと1158メートルに拡張され、自衛隊による訓練活動も行われました。しかしながら、1965年以降は通信傍受用施設の建設が始まる中で、飛行場としての機能が次第に失われて行きました。

現在の跡地

現在、福岡第一飛行場の跡地は福岡市雁の巣レクリエーションセンターや福岡航空交通管制部として整備されています。正門跡には記念碑が建てられ、水上機用の滑走台が海岸に残されています。また、福岡空港の発着枠の増加によって新たに奈多ヘリポートが建設され、ヘリコプターの運用が行われています。

事故と教訓

福岡第一飛行場は、戦前の民間飛行場としての重要性が高かったものの、大日本航空球磨号の墜落事故が発生しました。この事故は滑走路の短さが一因とされましたが、当時の800メートルは日本国内の基準としては標準的な長さでした。

このように、福岡第一飛行場はその開設から廃止まで多くの変遷を遂げ、地域の航空史において重要な着目点となっています。

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