福良天満宮

福良天満宮（ふくらてんまんぐう）

大分県臼杵市に位置する福良天満宮は、日本の学問や文化の神として知られる菅原道真公を主祭神として祀る神社です。

由緒と歴史

神社の起源は、菅原道真公が大宰府で亡くなった延喜3年（903年）に遡ると伝えられています。道真公の没後、その一族は周防国大畠の地に移り住み、姓を大畠と改めつつ、代々にわたり道真公の神像を守護してきました。しかし、天正年間（およそ1590年頃）に豊臣秀吉による全国制覇が進む中で、戦乱の難を逃れるため、この神像が豊後国海部郡福良荘の地に迎えられたのが、福良天満宮の始まりとされています。

慶長初期（1600年頃）には、この地周辺で寺院の開山が進み、平清水には円誉上人による龍原寺が、福良村小野路には称名寺が創建されました。

慶長13年（1602年）、当時の豊後国臼杵城主であった稲葉典通は、鷹狩りの最中に鷹を見失いました。鎮南山の麓に祀られていた天神像に願をかけたところ、迷い鷹が近くの福良丘の松に戻ってきたという故事が伝わっています。これに感銘を受けた典通は、天神をより手厚く祀るため、まず神像を宮畠に移し、さらに称名寺の境内に新たな神殿を建立し、「呼鷹殿」と名付けました。

その後、称名寺は真言宗に改宗し、仁和寺から院号を受けて菅生院と称しました。さらに菅勝院天満寺、梅林山天満寺と名を改めた後、天台宗に改宗して瑞光院天満寺となりました。このように神仏習合が進む中で、福良天満宮は、稲葉典通の祖父である稲葉良通（一鉄）以来、菅原道真を深く尊崇していた歴代の臼杵藩主稲葉氏から厚い崇敬を受け続けました。

明治元年（1868年）の神仏分離令の発布に伴い、神社としての独立が進められ、名称を天満神社と改めました。そして、明治28年（1895年）には、現在見られる本殿が改築されています。

昭和時代に入り、現在の名称である福良天満宮に改称されました。また、昭和57年（1982年）に公開された映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』では、本神社の境内がロケ地として使用され、多くの人々に知られるきっかけの一つとなりました。平成14年（2002年）には、菅原道真公の没後1100年にあたる節目として、盛大な1100年大祭が執り行われました。

祭礼

毎年7月下旬の3日間にわたり、「福良天満宮夏季大祭」が開催されます。この祭礼では、伝統的な岩戸神楽や迫力ある赤獅子連による奉納が行われます。祭りの日程は独特で、初日は境内の瑜伽神社の例祭、2日目は愛宕神社の例祭、そして3日目の最終日（通常は日曜日）が福良天満宮自体の例祭日となります。最終日には、神輿が地域を巡る神幸祭が厳かに執り行われます。また、最終日の夜に行われる「八雲祓い」（大蛇退治の神事）は特に人気が高く、多くの観衆で賑わいます。この夏季大祭は、臼杵の夏を彩る「臼杵三大夏まつり」の一つに数えられています。

境内社

境内には複数の末社が鎮座しています。

瑜伽神社（ゆうがじんじゃ）: 天手力男神と白太夫神を祀る神社です。岡山県倉敷市にある由加神社本宮の末社にあたります。平成28年（2016年）には、福良天満宮遷座四百年祭に合わせて社殿が改築されました。
愛宕神社: 保食大神（食物の神）と火産霊大神（火の神）を祀っています。明治時代初期に臼杵の商人であった大塚幸兵衛らによって篤く信仰されていました。この社殿も、平成28年（2016年）の福良天満宮遷座四百年祭の際に改築されています。
招霊赤猫社（おがたまあかねこしゃ）: 平成11年（1999年）に建立された比較的新しい境内社です。毎年5月初旬頃には、この社にちなんだ「うすき赤猫まつり」が開催されます。

アクセス

自動車: 東九州自動車道臼杵インターチェンジから約5分の距離にあります。
鉄道: JR九州日豊本線の上臼杵駅からは北へ徒歩約5分。また、JR臼杵駅からはタクシーで約7分です。
バス: 城北停留所から大分バス（野津市、臼杵石仏、大分県庁前方面行き）に乗車し、平清水（ひらそうず）停留所で下車後、徒歩約5分です。大分空港からは大分交通佐臼ライナーを利用し、臼杵インター停留所で下車後、徒歩約20分となります。

福良天満宮は、悠久の歴史と地域の信仰が息づく場所であり、学問成就や様々な願い事のために、年間を通じて多くの人々が訪れます。

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