禰寝重張

禰寝重張：激動の時代を駆け抜けた武将

禰寝重張（ねじめ しげはる）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将で、島津氏の家臣として知られています。禰寝氏は代々続く名家であり、重張は17代目当主として、その名を歴史に刻みました。

生い立ちと家督相続

永禄9年（1566年）、重張は禰寝重長の嫡男として誕生しました。父・重長は、かつて島津氏に反抗したこともありましたが、後に和睦し、島津氏に忠誠を尽くしました。天正8年（1580年）に父が亡くなると、重張は家督を継ぎ、根占七ヶ郷を領有することになりました。この地は、現在の鹿児島県肝属郡錦江町大根占地域と南大隅町根占地域にあたります。

太閤検地と移封

しかし、豊臣秀吉による九州平定後、文禄4年（1595年）の太閤検地の影響により、重張は吉利村（現在の鹿児島県日置市日吉町吉利）へと移封されることになりました。この移封は、重張にとって大きな転換点となりました。吉利に移った後、重張は父の霊を祀るために鬼丸神社を建立しました。

関ヶ原の戦いでの苦難

慶長5年（1600年）、重張は伏見屋敷の警衛役として京に滞在していました。そのため、同年8月に勃発した伏見城の戦いに参加し、先陣を切って軍功を挙げました。続く9月15日の関ヶ原の戦いにも参戦しましたが、敵中を突破して退却する際に、島津義弘率いる本隊とはぐれてしまいました。

重張は、僧侶の頼実を含むわずか4名の家臣と共に、洞穴に隠れていましたが、捕らえられてしまい、大坂の山岡景宗のもとへ送られ、獄舎に入れられました。頼実のみが僧侶という身分から許されましたが、彼は自らの知人を介して景宗と浅野幸長に重張の赦免を嘆願しました。その結果、重張は獄舎から解放されました。

その後の人生

重張は、広島へ向かい、僧侶の文職のもとに身を寄せた後（学問のためとも言われています）、翌慶長6年（1601年）1月15日に薩摩国へ帰還しました。故郷に戻った重張は、その後も島津家臣として活動し、寛永6年（1629年）にその生涯を終えました。主君である島津家久は、重張の死を悼み、和歌を詠んでいます。重張の名跡は、次男の重政が継ぎました。

まとめ

禰寝重張は、戦国時代から江戸時代初期という激動の時代を生き抜いた武将です。島津氏の家臣として、数々の戦で武功を挙げ、関ヶ原の戦いでは苦難を経験しました。その生涯は、波乱に満ちたものでしたが、彼の武勇と忠義は、後世に語り継がれています。

参考文献
『本藩人物誌 鹿児島県史料集8』（鹿児島県立図書館）
『戦国人名事典』コンパクト版（新人物往来社） ISBN 4-404-01752-9

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