秋山忠一

秋山忠一氏は、1951年、香川県綾歌郡で生まれました。4人兄弟の3男として育ち、近所にあった栗東トレーニングセンターの小林稔調教師夫人の実家を通じて、騎手への道を歩み始めます。

1974年3月、小林稔厩舎からデビュー。同期には岩元市三、佐々木晶三、西園正都、寺田雅之、稲葉義海、出口隆義、池添兼雄、佐野清広、河内洋、伊藤稔といった錚々たる面々が名を連ねていました。初騎乗は中京競馬場で行われたレースで、初勝利は札幌競馬場でのシュンサクオーに騎乗した時でした。1年目は4勝、2年目は6勝と着実に勝利数を重ねていきます。

3年目の1976年には、初の1日2勝、2日連続勝利を記録し、年間16勝を挙げました。その後も活躍を続け、1978年には函館3歳ステークスで2着、阪神牝馬特別で3着に入るなど、重賞レースでも好成績を収めました。1979年には小倉大賞典で3着と健闘し、1980年から1987年にかけては8年連続で2桁勝利を達成するなど、安定した成績を残し続けました。

1980年代に入ると、さらなる飛躍を遂げます。1981年にはダイドルマンに騎乗し、タマツバキ記念を5馬身差でレコード勝ち、続くアラブ王冠も制覇するなど、重賞競走を連勝しました。翌1982年にはアラブ王冠を連覇。1983年にはロンググレイスやロングハヤブサの主戦騎手として活躍しました。1984年にはウインターステークスで3着、同年12月から1985年4月にかけてはランドヒリュウの主戦騎手を務めました。

小林稔厩舎では1985年の宝塚記念で優勝したスズカコバンの調教にも携わっています。1985年には自己最多となる23勝を挙げ、20勝の大台に乗せました。同年、東京優駿（日本ダービー）ではアイアンサムソンに騎乗しましたが、17着に終わりました。しかし、ダービー前日のニュージーランドトロフィー4歳ステークスを制した作田誠二氏と共に帰路の電車に乗車しており、このレースを的中させていた佐藤泉アナウンサーに目撃されています。

1987年にはクラウンエクシードでウインターステークスを制覇。1988年にはローズイバロンで京都記念4着、中京記念3着と好走しました。1989年には最後の2桁となる16勝を挙げ、1990年6月16日、中京競馬場で行われたレースで最後の勝利を収めました。最後の騎乗となったのは同年10月28日、京都競馬場でのレースでした。そして、1991年2月、惜しまれつつ現役を引退しました。

引退後は小林稔厩舎で調教助手として活躍し、タケノベルベットやフサイチコンコルドなどの名馬の調教にも携わりました。小林氏の定年後には佐藤正雄厩舎で調教助手として勤務し、2016年に定年退職しました。現在は日刊ゲンダイで競馬コラム「馬体がヒント」を連載しています。

秋山忠一氏の騎手生活は、華麗なる活躍と多くの記憶と共に幕を閉じました。彼の功績は、競馬史にしっかりと刻まれています。彼の経験と知識は、後進の育成や競馬界の発展に大きく貢献していると言えるでしょう。

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