稲村順三

稲村 順三について

稲村 順三（いなむら じゅんぞう、1900年9月30日 - 1955年2月21日）は、農民運動家および日本の政治家で、衆議院議員として5期にわたり活動しました。彼の本名は「稲村 順蔵」であり、一部ではペンネームとして「村上 進」を使用していました。

生い立ちと背景

新潟県三条市の出身である彼は、最初は北海道帝国大学の予科から東京帝国大学に進学しました。しかし、兄である稲村隆一の影響を受け、農民運動に興味を持つようになり、大学を中退します。1926年には労働農民党へ入党し、同党の機関誌「マルクス主義」の編集者として関与しました。さらに、無産大衆党や社会大衆党で書記を務め、1927年には雑誌『労農』の同人に名を連ねることとなります。

政治活動の展開

1928年に日本大衆党に加入するものの、翌年には除名されるという波乱の展開を見せました。その後、彼は秋田や新潟での農民運動に参加し、1937年には人民戦線事件に関わり、逮捕されるものの後に釈放され、帝国農業会での職務に就きました。戦後は日本社会党に加入し、1946年には第22回衆議院議員総選挙に立候補、当選を果たし、以降5期を果たすことになります。

森戸・稲村論争

この時期、1949年には「階級政党」としての党の性格を位置づける運動方針案を提出し、これが森戸辰男との論争に発展しました。この論争は政治史においても重要な位置を占めています。1951年には社会主義協会の結成に関与し、その後、左派社会党の綱領策定にも関わることになります。さらに、党の農民部長や中央執行委員としても積極的に活動しました。

突然の死と影響

1955年2月21日、54歳の若さで急死し、当時進行中だった第27回衆議院議員総選挙の最中、急遽兄の隆一が補充立候補し4期目を務めました。彼の影響は次世代にも及び、長男の稲村稔夫も三条市長や参議院議員として活動しました。

著作

彼の著作には『轉換期の食糧問題』や『農民運動論』などがあり、共産主義についての翻訳書も多く執筆しています。これらの著作は、農業や政治の分野における彼の考えや貢献を知るうえで重要な資料となっています。

参考文献

1. 『市民・社会運動人名事典』（日外アソシエーツ、1990年）
2. 『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』（2003年、日外アソシエーツ、65頁）

稲村順三の生涯と業績は、日本の農民運動や社会党の歴史において特筆すべきものであり、現在でもその影響を感じることができます。

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