竜ヶ窪

龍ヶ窪：清冽な湧水と豊かな自然に抱かれた秘境

新潟県中魚沼郡津南町に位置する龍ヶ窪は、環境省の名水百選に選定されている、知られざる名水です。その水源は、豪雪地帯として知られる秋山郷の積雪や、苗場山、鳥甲山などの伏流水。信濃川の河岸段丘に湧き出る豊富な地下水は、周辺の泉やため[[池]]の水源となっています。

龍ヶ窪は標高約450mの河岸段丘上にあり、周囲は落葉樹林や広葉樹林に囲まれ、東側にはブナの原生林が広がっています。豊かな自然環境は、名水百選選定の理由の一つであり、県指定の自然環境保全地域、鳥獣保護区にも指定されています。

池の規模は水深1.5m、面積11,900㎡と大きく、毎分30トン、日量4万3千トンもの湧水が湧き出ています。驚くべきことに、この大量の水は1日に1回入れ替わるほどの勢いがあるのです。水質はミネラルを適度に含んだ軟水で、年間を通して7～8℃と水温の変化も少ないのが特徴です。

この豊富な湧水は、地元住民の上水道や灌漑用水として利用され、地域社会を支えています。また、新潟県では珍しいカワマスが生息しているほか、36種もの鳥類が確認されており、多様な生物が生息する豊かな生態系を育んでいます。

龍ヶ窪は古くから地域住民にとって貴重な水源であり、生活に欠かせない存在でした。そのため、多くの伝説や昔話が語り継がれ、神聖な場所として大切にされています。周辺には龍ヶ窪を守る2つの集落があり、それぞれ独自の神社を持ち、毎年7月には祭礼が行われるなど、地域文化と深く結びついています。

龍ヶ窪の近隣には、かつて「竜ヶ窪温泉 竜神の館」という日帰り入浴施設がありました。1996年に開業し、津南町の第三セクターが運営する黒字経営を続けていましたが、2004年の新潟県中越地震以降は赤字が続き、2019年に一時休業。その後、民間企業に運営を委託されましたが、新型コロナウイルス感染症の流行による利用客の減少や、源泉温度の低下などの影響を受け、2023年9月に閉館しました。

龍ヶ窪へのアクセスは、公共交通機関ではJR飯山線津南駅からタクシーで約15分、または津南中心部から南越後観光バスを利用できます。車の場合は、国道117号から県道251号を利用し、竜神の館跡地の駐車場を利用できます（有料、30台）。

龍ヶ窪は、豊かな自然と湧水、そして人々の生活と文化が深く結びついた、貴重な場所です。訪れる際には、その神秘的な雰囲気と、自然の恵みを感じてみてください。周辺には、苗場山麓ジオパークなど、魅力的な観光スポットも多くありますので、合わせて訪れてみるのも良いでしょう。

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