竹内俊吉

竹内俊吉：政治と文化の架け橋となった多才な人物

竹内俊吉（たけうち しゅんきち）は、1900年2月5日に青森県西津軽郡で生まれ、1986年11月8日に86歳で生涯を閉じた日本の政治家、そして文人です。彼の人生は、政治の世界と文化の世界の両方で、その才能をいかんなく発揮したものでした。

若き日の歩みとジャーナリズム

竹内は、尋常小学校を卒業後、三田英学校を中退。1925年に東奥日報に入社し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。『サンデー東奥』の編集責任者を務めたのを皮切りに、社会部長、整理部長、取締役を歴任し、1940年に退社（後に顧問）するまで、新聞社の中枢で活躍しました。この時期に培われた文章力と社会に対する深い洞察力は、後の政治家、文人としての活動の土台となりました。

政界への進出と県政への貢献

ジャーナリストとしての経験を活かし、竹内は政治の世界へも進出しました。青森県議会議員を経て、1942年の第21回衆議院議員総選挙で初当選。第二次世界大戦後は公職追放されましたが、追放解除後の1955年、民主党公認で衆議院議員に返り咲き、3期連続で当選を果たしました。第2次岸内閣では外務政務次官、第2次池田内閣第2次改造内閣では大蔵政務次官を歴任し、国政にも深く関わりました。その後、1963年には青森県知事に就任。むつ小川原開発計画を推進し、「待ちの政治家」と呼ばれました。4期16年にわたる知事在任中は、県政の発展に大きく貢献しました。

メディア界での活躍

政治家としての活動と並行して、竹内はメディア界でも重要な役割を果たしました。1953年から1962年まで、ラジオ青森（現：青森放送）の社長、後に会長を務め、地域メディアの発展に尽力しました。この間、地域社会に根差した情報発信の重要性を説き、放送文化の向上に貢献しました。

文化人としての側面

竹内は文人としてもその才能を発揮しました。青年時代から短歌や俳句を嗜み、作品を発表していました。東奥日報時代には文学雑誌『座標』を創刊し、自らも小説家として東奥日報紙上に『海峡』を連載しました。また、政治家になってからも、公務の傍ら油絵を描き、政界での展覧会に出品するなど、幅広い芸術活動を展開しました。俳句誌『春燈』への投稿も続け、文芸への情熱を生涯持ち続けました。さらに、版画家の棟方志功や民謡歌手の成田雲竹といった才能ある芸術家を見出し、世に出る後押しをした人物としても知られています。

相撲愛好家として

竹内は大の相撲好きとしても知られていました。昭和初期の大ノ里、清水川、鏡岩など、多くの青森県出身力士と親交があり、津軽出身の横綱：2代目若乃花幹士の後援会長を務めたこともありました。相撲を通じて、地元青森への愛情を深め、その文化を広く伝えた人物としても記憶されています。

竹内俊吉の遺産

竹内俊吉は、政治家、ジャーナリスト、文人として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、多くの人々に影響を与えました。彼の残した功績は、青森県政や文化の発展に大きく貢献し、今もなお、その精神は受け継がれています。生誕110周年を迎えた2010年には、青森県近代文学館にて『竹内俊吉生誕110年展』が開催され、その生涯と業績が改めて紹介されました。

著書

句集『雪』青い森社、1949年。
『青森に生きる』竹内俊吉 淡谷悠蔵対談集、毎日新聞社、1981年。
『竹内俊吉の世界』青森放送、1988年。

関連人物

川合勇太郎 - 民俗学者。東奥日報三本木支局長。東奥日報時代に交流があった。

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