徳大寺公城

徳大寺公城

徳大寺公城（とくだいじ きんむら）は、江戸時代中期に活躍した公卿です。元文5年（1740年）に叙爵し、清華家の当主として順調に昇進を重ねました。侍従、左近衛少将、右近衛中将、相模権介といった官職を経て、寛延元年（1748年）には従三位となり、公卿の仲間入りを果たします。その後も、権中納言や踏歌節会外弁といった要職を歴任し、宝暦4年（1754年）には権大納言にまで昇りつめました。宝暦6年（1756年）には大歌所別当にも任じられています。

公城は、延享4年（1747年）に桃園天皇の近習に選ばれ、若き天皇の教育係という重要な役割を担うことになります。彼は、朝廷への権力回帰を主張する徳大寺家の家臣、竹内敬持の学説を桃園天皇に説きました。しかし、竹内の仏教排除の思想を巡り、関白の一条道香との対立が激化していきます。

宝暦8年（1758年）6月9日、前関白一条道香と関白近衛内前によって、公城は近習から排除されてしまいます。さらに、7月24日には、摂家からの圧力に屈した桃園天皇の命により、官職を辞して蟄居という処分を受けることになりました（宝暦事件）。この日、桃園天皇は日記に徳大寺公城、正親町三条公積、高野隆古、西洞院時名の4名を「忠臣」と記し、彼らの追放を嘆いたとされています。

宝暦事件は、一般的には江戸幕府からの圧力が原因とされていますが、当時の公家の日記などを詳しく調べてみると、摂家の要請を受けて江戸幕府が京都所司代に調査を指示したものの、不穏な動きを示す証拠は見つからなかったようです。しかし、女官たちからの情報により、近習たちによるクーデター計画を示唆する文書の存在を把握した摂家側が、天皇に強く迫り、公城らの処分を断行させたというのが真相のようです。幕府も最終的にはこれを追認する形となりました。

安永7年（1778年）に公城は赦免されますが、官職に復帰することはありませんでした。しかし、徳川幕府が崩壊した後、明治24年（1891年）になって名誉が回復され、従一位が追贈されることとなりました。

系譜

父：徳大寺実憲
母：大洲藩主加藤泰恒の娘
妻：松平郁子（高松藩主松平頼恭の娘）
養子：徳大寺実祖（実父は西園寺公晃）

関連項目

徳大寺家
宝暦事件

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