第一航空隊

第一航空隊と第七五二海軍航空隊：太平洋戦争を駆け抜けた陸攻隊

第一航空隊（以下、一空）は、1941年4月10日に新竹飛行場で編成された日本海軍の陸上攻撃機部隊です。大東亜戦争（太平洋戦争）開戦前から存在した陸攻隊の中で、終戦まで部隊が解散することなく存続した唯一の航空隊として知られています。1942年11月1日には第七五二海軍航空隊（以下、七五二空）へと改称されました。

第一航空隊の沿革

一空は、支那事変（日中戦争）での経験を踏まえ、対米英戦を想定して陸上攻撃機部隊の増強を図る中で編成されました。内南洋での哨戒や敵艦隊の迎撃を主な任務とし、開隊当初は九六式陸上攻撃機36機と九六式艦上戦闘機24機を保有していました。

開隊後、訓練を重ねた一空は、1941年5月に千歳海軍航空隊と共に内南洋に進出し、実地訓練を実施しました。同年7月には中国奥地への爆撃を強化するため漢口に進出し、重慶や成都への爆撃作戦に従事しました。その後、フィリピン侵攻作戦に向けた強襲部隊の一翼を担うため、台南飛行場に移動。開戦劈頭のクラーク飛行場爆撃に参加し、以後、フィリピン各地への爆撃を繰り返しました。さらに、香港やリンガエン湾上陸作戦の支援にも投入され、バターン半島やコレヒドール島への集中爆撃も行いました。

1942年に入ると、一空は蘭印攻略作戦に参加し、セラム島、アンボン、セレベス島などへ進出。外南洋の拠点として重要視されたラバウル攻略作戦においては、千歳空の派遣が困難となったため、一空が「ラバウル航空隊」の先駆けとして派遣されることになりました。ラバウル進出後、ニューギニア各地への爆撃を繰り返し、ラエ・サラモア攻略作戦を支援しました。

その後、一空は内南洋哨戒の任務に就き、ミッドウェー島攻略作戦の前哨偵察やマーシャル諸島での対潜掃討などに従事しました。また、マキン島やナウル、オーシャン島攻略作戦にも参加しました。

第七五二海軍航空隊への改称とその後

1942年11月1日、一空は七五二空へと改称されました。改称後、搭乗員の技量向上と一式陸上攻撃機への機種転換に励み、再編作業を進めました。しかし、1943年5月にはアッツ島への米軍上陸に伴い、支援のため幌筵島に進出。アッツ島への爆撃作戦を実施しました。

1943年11月には、タラワ島での地上戦が激化。七五二空は、トラックへの進出を繰り上げてマーシャル諸島に進出。ギルバート諸島沖航空戦に参加し、タラワ島への空襲も行いました。しかし、ルオット島に敵機が襲来した際には、迎撃戦を展開し、マーシャル諸島沖航空戦へと発展しました。

1944年1月には、ルオット島が上陸事前空襲を受け、残留隊は全滅。ミレ島やマロエラップ環礁派遣隊は、七五一空の要員と共にマリアナ諸島への脱出に成功しました。その後、本土に戻り豊橋飛行場で再編され、十二航艦第二十七航空戦隊に編入されました。硫黄島経由でマリアナ諸島を支援するため、「八幡空襲部隊」を結成し、マリアナ沖海戦などにも参加。しかし、硫黄島への空襲で戦力を消耗し、作戦行動は困難となりました。

その後、「T攻撃部隊」の一翼を担い、小笠原諸島に来襲した米機動部隊への夜間索敵攻撃に参加。また、「丹作戦」のために編成された部隊にも一時的に編入されました。さらに、アスリート飛行場への強襲作戦や、関東への空襲を行う敵機動部隊への反撃を試みましたが、戦果は乏しく、硫黄島への弾薬輸送作戦などに従事する中で、組織的な活動はほぼ終了しました。

終戦間際には、流星艦攻を主力とした第五飛行隊を編成し、米英高速機動部隊への攻撃を試みましたが、戦果は不明。特攻隊も編成し、複数の戦果を挙げたものの、終戦を迎えることとなりました。

主力機種

一空・七五二空で使用された主な機種は以下の通りです。

九六式陸上攻撃機
一式陸上攻撃機
九六式艦上戦闘機
零式艦上戦闘機
天山
彗星
銀河
彩雲
流星

歴代司令

荒木敬吉 大佐：1941年4月10日 - 1942年2月14日
井上左馬二 大佐：1942年2月14日 - 1942年9月5日
園山斉 中佐：1942年9月5日 - 1944年2月9日（ルオット地上戦で戦死）
永石正孝：1944年2月24日 - 1944年10月10日
菊岡徳次郎：1944年10月10日 - 終戦解隊

新竹海軍航空隊

新竹海軍航空隊は、多数の飛行練習生の練成を図るために増設された陸攻慣熟練航空隊の一つです。1942年4月1日に開隊し、一空だけでなく、台湾に所在する高雄空など、各地の航空隊の陸攻要員を養成しました。1943年11月25日の新竹空襲で大きな被害を受け、1944年1月1日に解散しました。

まとめ

第一航空隊と第七五二海軍航空隊は、太平洋戦争の全期間を通じて、爆撃、攻撃、偵察など多岐にわたる任務を遂行しました。幾度もの改編と転戦を経て、終戦まで戦い抜いたその歴史は、日本海軍航空史において重要な位置を占めています。

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