第三の位置

第三の位置（Third Position）

第三の位置とは、既存の2つの対立する立場、特に資本主義と共産主義に対して提唱される、独自の第3の立場を指します。この概念は革命的な国家主義やナショナリズム的要素を含むことが多く、特に20世紀の政治思想において重要な役割を果たしました。

概要

政治的な文脈において第三の位置は、自らの立ち位置を「左右の超越」と捉え、資本主義や共産主義のいずれにも所属しない新たな思想を模索しています。この思想の背後には、多くの提唱者が存在し、政治的シンクレティズムを超えた位置を標榜しています。また、第三の位置は生産手段の所有権を国民や民族の間で広く分配することを目指しているのが特徴です。

標榜された事例

ドイツ

ワイマール共和国の時代には、保守革命と極左の連携によって第三の位置運動が形成されました。この運動の中心的な人物であるエルンスト・ニーキッシュは、資本主義と帝国主義の打倒を目指す民族ボルシェヴィズムを提唱し、この流れは後のナチス左派やドイツ共産主義労働者党とも関連しています。その後、クルト・フォン・シュライヒャーは政権内にその動きを取り込もうと試みましたが成功には至らず、粛清が続いたことがこの動きの歴史を複雑にしました。

イタリア

イタリアでは、ネオ・ファシズムの政党「ヨーロッパ国民戦線」の書記長ロベルト・フィオレが第三の位置を支持しており、彼はこの概念を拡充するために多くの政治思想家と協力しています。フィオレは、民族主義や国家主義をスローガンに掲げ、複数の第三の位置政党を設立し、政治界において重要な影響力を持っています。

アルゼンチン

アルゼンチンのフアン・ペロン政権（1946-1955）は、第三の位置を実際の国家体制として具現化しました。ペロンの政権は、コーポラティズムと福祉国家を融合し、自己の国家的特性を持つ体制を築きました。

フランス

1985年、フランスの「第三の道」党によって第三の位置が広まりました。この党は、共産主義やアメリカ帝国主義への反対を展開し、冷戦終結後に国民戦線との接近を模索していきました。

イギリス

フィオレは1980年代にイギリスに移住し、そこでの活動家との交流を経て「政治的戦士運動」が結成されました。この運動は、土地の均等配分や社会信用制度の導入などの思想を取り入れながら、ナショナリズムを強調しています。

アメリカ合衆国

アメリカでは、第三の位置が白人至上主義勢力やイスラム原理主義者などによって普及しました。この運動は、左翼からの転向者によって主導され、市民的自由の擁護や大きな政府への反対を訴えています。2010年にはアメリカ第三の位置党が設立され、この動きの形態は続いています。

結論

第三の位置は、歴史的に見ても多様な背景を持ち、さまざまな国で異なる形態をとりながら発展してきました。現代においても、この思想は新たな形で政治的な議論や運動の中で生き続けています。

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