第三紫尾山トンネル

第三紫尾山トンネルについて

第三紫尾山トンネルは、九州新幹線の出水駅と川内駅間に位置する、全長9,987メートルの鉄道トンネルです。このトンネルは、鹿児島県出水市高尾野町柴引と薩摩川内市城上町を結び、複線電化の規格で建設されました。

概要

紫尾山は出水山地の最高峰であり、このトンネルはその山を貫通しています。九州新幹線の博多～鹿児島中央間においては、筑紫トンネルに次ぐ長さを誇ります。

建設の経緯

当初、整備新幹線の建設凍結解除後の着工優先順位は低く評価されていましたが、上越新幹線の例を参考に、難工事が予想される区間を先行して着工するべきという地元の政治家、小里貞利氏らの強い働きかけがありました。その結果、政府・自民党の合意書には「難工事区間の早期着工」という一文が加えられ、九州新幹線の中で最初に第三紫尾山トンネルが着工されることとなりました。

1989年8月8日、薩摩郡東郷町藤川字中津俣（現在の薩摩川内市東郷町藤川字中津俣）において難工事安全祈願祭が行われ、工事が開始されました。これは北陸新幹線の本格着工とほぼ同時期にあたります。

工事では、岩盤の激しい変化や亀裂、湧水などに悩まされ、難航しました。1991年9月には鹿児島ルートの本格着工が始まり、1999年11月27日には阿久根市鶴川内付近の坑内で貫通式が行われました。総工費は約260億円に達しました。

その後、レールの敷設や電気関係の工事が進められ、2004年3月13日に第三紫尾山トンネルは無事開通しました。

湧水の利用

特筆すべき点として、第三紫尾山トンネルの北工区からの湧水が挙げられます。当初は近くの高尾野川へ排水する計画でしたが、地元からの要望を受け、2001年3月22日から出水市の鳥越浄水場へ1日約4,000トンが送水され、上水道として活用されています。これは、トンネル工事で発生した湧水を有効利用した良い事例と言えるでしょう。

第三紫尾山トンネルは、九州新幹線の重要な一部であり、その建設は多くの困難を伴いましたが、地域住民の生活にも貢献しています。

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