第3軍団ガッリカ

第3軍団ガッリカ：カエサルが創設した歴戦のローマ軍団

第3軍団ガッリカは、共和政末期の紀元前49年に、ガイウス・ユリウス・カエサルがグナエウス・ポンペイウスと共和派に対抗するために編成したローマ軍団です。「ガッリカ」という名称から、兵士の多くが共和政ローマ支配下のガリア地方出身であったと推測されています。第3軍団は、その長い歴史の中で数々の戦いに参加し、4世紀初頭まで存続しました。軍団の紋章は牡牛です。

共和政末期：カエサルの下での戦い

軍団はカエサルの指揮下で、ファルサルスの戦いやムンダの戦いといった重要な戦いに従軍しました。カエサルの暗殺後、第二回三頭政治期にはマルクス・アントニウスの指揮下に入り、パルティアへの遠征にも参加しています。その後、アクティウムの海戦に参戦しますが、アントニウスが敗北し、第3軍団は降伏。アントニウスの自死後、軍団は東方へ派遣され、属州シリアに駐屯することになりました。

ユリウス＝クラウディウス朝期：パルティアとの戦いと転換

グナエウス・ドミティウス・コルブロが指揮官として赴任すると、第3軍団は対パルティア戦で活躍します。しかし、コルブロの一連の戦略的勝利は皇帝ネロを警戒させ、コルブロは自死を命じられます。その後、軍団はドナウ川流域の属州モエシアへと移動となりました。

フラウィウス朝、五賢帝時代：内乱と異民族との戦い

四皇帝の年（69年）には、第3軍団は当初オトに、その後ウェスパシアヌスに従軍し、ウィテリウスとの戦いに勝利。ウェスパシアヌスはフラウィウス朝を創設します。この戦いには、小プリニウスがトリブヌス・ミリトゥムとして参加していました。フラウィウス朝期には、軍団はシリアに駐在し、2世紀の属州ユダヤにおける一連の内乱（ユダヤ戦争、バル・コクバの乱など）に対処しました。五賢帝時代には、ルキウス・ウェルスの指揮下で、そして後のセウェルス朝の創始者セプティミウス・セウェルスの指揮下では、再びパルティアとの戦いに参加しています。

セウェルス朝期：内紛と一時的な解散

セウェルス朝を創始したセプティミウス・セウェルスの下でもパルティア戦役に従軍しますが、目立った功績はありませんでした。しかし、セウェルスの息子カラカラを殺害して帝位に就いたマクリヌスの治世では、第3軍団はローマ軍の中心的な存在として君臨します。しかし、カラカラの叔母ユリア・マエサが軍団のいるシリアに流罪となると、現地に駐在していた第3軍団を買収。軍団は彼女の曾孫エラガバルスを擁立し、エラガバルスの治世初期までローマ軍の中では精鋭として扱われました。しかし、エラガバルスから軍団は離反し、元老院議員ウェルスを擁立しようとしますが失敗。ウェルスはエラガバルスによって処刑されます。そして、第3軍団ガッリカは廃止され、軍団兵は第3軍団アウグスタへと編入され、属州アフリカへ駐在となりました。しかし、次の皇帝アレクサンデル・セウェルスの治世において、第3軍団ガッリカは復活し、再びシリアでの勤務となります。

セウェルス朝以降：記録の途絶と終焉

その後の軍団の記録ははっきりとしていません。323年には依然としてシリアに駐在していたことのみが分かっています。その後、第3軍団ガッリカがどのようにして終焉を迎えたのかは、歴史の闇に包まれています。

第3軍団ガッリカは、カエサルの時代からローマ帝国の衰退期まで、長く存続した軍団であり、その歴史はローマ帝国の歴史そのものと言えるでしょう。

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