第53師団 (日本軍)

第53師団：京都を基盤とした激戦の記録

第53師団は、1941年（昭和16年）に編成された大日本帝国陸軍の師団です。満州駐屯部隊の代替として、留守第16師団を基幹に京都で編成されました。その管轄区域は京都師管と呼ばれ、京都府、滋賀県、三重県、福井県の四府県を徴兵区としていました。1945年には京都師管区司令部へと改編されています。

編成と初期の動き

1940年（昭和15年）に、満州に永久駐屯する師団の代替として、留守師団を基幹とする新たな師団編成が始まりました。その一環として、第53師団は翌1941年9月16日に編成されました。第53師団は編成後、中部軍に所属していましたが、1943年（昭和18年）11月に南方軍予備として動員され、1944年1月からサイゴン、シンガポールへと派遣されました。

ビルマ戦線での激戦

インパール作戦に伴い、第53師団はビルマへと派遣され、ラングーンに到着。その後、北部ビルマのラモウ・テンユエ（拉孟・騰越）の戦いやイラワジ会戦に参加しました。シッタン作戦では、第28軍の撤退を援護するためシッタン川付近で英印軍と交戦し、終戦を迎えました。この戦線での激戦は、師団にとって大きな試練となりました。

師団の構成と指揮官

師団長は、馬場正郎中将、河野悦次郎中将、武田馨中将、林義秀中将が歴任しました。参謀長は、中村忠英大佐、大矢部省三中佐、芦川春雄大佐が務めました。最終所属部隊として、歩兵第119連隊（敦賀）、歩兵第128連隊（京都）、歩兵第151連隊（津）などが含まれていました。その他、捜索連隊、野砲兵連隊、工兵連隊、輜重兵連隊、通信隊、兵器勤務隊、衛生隊、野戦病院、防疫給水部、病馬廠などが師団を構成していました。

歴代師団長

馬場正郎 中将：1941年10月1日 - 1943年9月25日
河野悦次郎 中将：1943年9月25日 - 1944年4月27日
武田馨 中将：1944年4月27日 - 1945年2月20日
林義秀 中将：1945年2月20日 - 終戦

歴代参謀長

中村忠英 大佐：1941年10月1日 - 1944年7月28日
大矢部省三 中佐：1944年7月28日 - 1944年12月12日
芦川春雄 大佐：1944年12月12日 - 1945年7月13日

最終所属部隊

歩兵第119連隊（敦賀）：羽賀芳男大佐
歩兵第128連隊（京都）：菊地芳之助大佐
歩兵第151連隊（津）：橋本熊五郎大佐
捜索第53連隊：斎藤富雄少佐
野砲兵第53連隊：横田武夫大佐
工兵第53連隊：田中誠大佐
輜重兵第53連隊：緒方俊夫大佐
第53師団通信隊：金子庫三少佐
第53師団兵器勤務隊：山本茂雄大尉
第53師団衛生隊：辻村正少佐
第1野戦病院：寺本嘉範少佐
第2野戦病院：板東保少佐
第4野戦病院：後下保少佐
第53師団防疫給水部：小山田功少佐
第53師団病馬廠：宮本雄三郎大尉

終戦とその後

第53師団は、シッタン川付近での戦闘中に終戦を迎えました。その激戦の歴史は、多くの将兵の犠牲の上に成り立っており、歴史に深く刻まれています。

参考資料

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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