第7飛行師団 (日本軍)

第7飛行師団の概要

第7飛行師団は、1943年1月にシンガポールで編成された日本陸軍の航空師団です。当初は第3航空軍の隷下に属し、スマトラ島からバンダ海にかけての広大な地域で、海洋哨戒、航空防衛、地上作戦の支援などを担当しました。

編成と初期の活動

師団の編成当初の任務は、広範囲にわたる海洋哨戒と航空防衛でした。しかし、戦況の推移とともに、その活動範囲は大きく変化していきます。1943年6月には、日本陸軍機として初のオーストラリア本土空襲となるダーウィン空襲を実施。その後、ニューギニア方面での戦闘が激化すると、師団の主力は同方面へ移動することになります。

ニューギニア戦線での激戦

1943年7月、ニューギニア東岸での戦闘が激化していた第6飛行師団を支援するため、第7飛行師団の主力はニューギニアに移動し、司令部をブーツに設置しました。この地域に二つの飛行師団が配置されたことから、第4航空軍が新たに創設され、第7飛行師団はその隷下に入りました。しかし、1943年8月には、アメリカ軍の激しい空襲により、ウェワクやブーツの飛行場が大きな被害を受け、師団は大きな打撃を被りました。同年10月には、戦力を立て直すため、インドネシアのアンボンへ後退しています。

後期戦と解散

アンボンへの移動後は、ジャワ島東方での船団護衛などが主な任務となりました。1945年2月には、第4航空軍が解散したため、第2飛行師団とともに第3航空軍の隷下に入りました。しかし、戦局は悪化の一途をたどり、戦力の低下と本土決戦への対応のため、1945年7月に解散を余儀なくされました。

師団の構成

第7飛行師団は、様々な機種の航空機を運用していました。主な使用機種は、百式重爆撃機、九九式双発軽爆撃機、一式戦闘機、二式複座戦闘機、一〇〇式司令部偵察機、九九式軍偵察機などです。

歴代師団長

須藤栄之助 中将：1943年1月29日 - 1945年2月1日
白銀重二 中将：1945年2月1日 - 1945年7月16日

参謀長

高品朋 大佐：1943年1月29日 - 1945年4月9日
吉満末盛 中佐：1945年4月9日 - 1945年7月18日

最終司令部構成

参謀長：吉満末盛中佐
参謀（施設）：東愛吉少佐
参謀（通信）：辺見重孝少佐
参謀（後方）：槇安之少佐
高級副官：白井日出雄中佐
兵器部長：落合練平中佐
経理部長：佐藤誠之助主計中佐
軍医部長：津川辰三軍医大佐

最終所属部隊

第7飛行師団は、多数の飛行戦隊や飛行場部隊を抱えていました。

戦闘部隊

独立飛行第73中隊（軍偵）：春成兼正少佐
飛行第13戦隊（戦闘）：町田久雄少佐
飛行第24戦隊（戦闘）：庄司孝一少佐
飛行第208戦隊（軽爆）：加島誠輝中佐
第9飛行団司令部：
飛行第61戦隊（重爆）：堀川正三郎少佐
第3飛行団司令部：三宅友美大佐
独立飛行第70中隊（司偵）：市川蔵康少佐
飛行第75戦隊（軽爆）：土井勤中佐

飛行場部隊

第4航空地区司令部：
第9航空地区司令部：赤沢正之丞中佐
第32航空地区司令部：古閑武夫中佐
第5飛行場大隊：
第28飛行場大隊：武松哲夫大尉
第35飛行場大隊：小林貞一大尉
第68飛行場大隊：田中正夫大尉
第70飛行場大隊：佐藤秀雄大尉
第72飛行場大隊：阿部万治大尉
第107飛行場大隊：大参省一少佐
第108飛行場大隊：山岸長蔵少佐
第109飛行場大隊：水谷勇夫大尉
第113飛行場大隊：
第9飛行場大設定隊：川崎計三少佐

通信関連部隊

第9航空通信連隊：野辺常介少佐
第8航空情報連隊：松元朝雄少佐
第13野戦気象隊：中川勇少佐

整備・補給関連部隊

第21野戦航空修理廠：新保稔中佐
第21野戦航空補給廠：柳瀬良平少佐

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。
木俣滋郎『陸軍航空隊全史』航空戦史シリーズ90、朝日ソノラマ、1987年。
防衛研修所戦史室『陸軍航空の軍備と運用（3）大東亜戦争終戦まで』　朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1976年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧
日本のオーストラリア空襲
ニューギニアの戦い
チャールズ・リンドバーグ - 1944年7月28日に第73中隊の島田三郎中尉機を撃墜した。

第7飛行師団は、太平洋戦争における激戦地を転戦し、数多くの航空作戦に参加しました。その歴史は、日本陸軍航空隊の活動を知る上で重要な一例と言えるでしょう。

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