第86回凱旋門賞

第86回凱旋門賞：2007年、ロンシャン競馬場の激闘

2007年10月7日、フランス・パリのロンシャン競馬場。第86回凱旋門賞は、芝2400メートルのコースで、午後4時40分（日本時間午後11時40分）にスタートを切った。総賞金は200万ユーロ（1着賞金114万2800ユーロ）という豪華なレースには、世界中から精鋭馬が集結した。

日本からの参戦断念: 当初、日本のウオッカとメイショウサムソンも参戦予定だったが、ウオッカは球節炎、メイショウサムソンは馬インフルエンザの影響で遠征を断念。2年ぶりに日本調教馬の姿が見られない凱旋門賞となった。

注目の出走馬: 3歳最強馬候補として挙げられていたのは、イギリス調教のエプソムダービー優勝馬オーソライズド。エクリプスステークス2着、インターナショナルステークス優勝と勢いそのままの本レース参戦だった。対抗馬として、エプソムダービーでオーソライズドに敗れたものの、アイリッシュダービーを制したソルジャーオブフォーチュン。ニエル賞優勝で絶好調をアピールしていた。さらに、パリ大賞勝ち馬ザンベジサンも有力候補に挙げられていた。古馬の代表格は、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制したディラントーマス。インターナショナルステークスではオーソライズドに敗れたものの、続くアイリッシュチャンピオンステークスで連覇を達成し、凱旋門賞に臨んでいた。この他、G1を3勝している牝馬マンデシャ、重賞3連勝中のサデックス、ニエル賞2着のサガラ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス2着のユームザインなど、錚々たるメンバーが揃った。なお、有力候補だったマンデュロは、前哨戦のフォワ賞で優勝したものの、骨折が判明し、代役としてゲッタウェイが出走することとなった。

オブライエン厩舎の戦略: ソルジャーオブフォーチュンとディラントーマスを管理するアイルランドのエイダン・オブライエン調教師は、ペースメーカーとしてソングオブハイアワサを追加登録。4頭出しという大胆な戦略で、オーソライズドらに対抗した。

レース展開と結果: スタートではオーソライズドが出遅れる波乱の幕開け。ソングオブハイアワサが先頭でレースを引っ張り、ソルジャーオブフォーチュンらが追走、ザンベジサンとディラントーマスは中団、オーソライズドは最後方という展開となった。最終直線、ソルジャーオブフォーチュンが抜け出したかに見えたが、ディラントーマスが内側から猛追。残り200メートルでディラントーマスが先頭に立ち、最後はユームザインとの激しい叩き合いを制し、見事優勝を飾った。3着はサガラ、4着はゲッタウェイ、ソルジャーオブフォーチュンは5着、オーソライズドは10着に終わった。ディラントーマスの進路妨害の疑いによる審議が行われたものの、着順に変更はなかった。古馬による凱旋門賞制覇は2002年以来5年ぶり。騎手のキーレン・ファロンは2勝目、調教師のエイダン・オブライエンは初制覇となった。天候は晴れ、馬場状態は稍重（3.4）だった。このレースは、世界最高峰の競走に相応しい、ドラマチックで記憶に残る一戦となった。

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