筑紫広門 (主水正)

筑紫広門（つくし ひろかど）

筑紫広門は、天正2年（1574年）に生まれ、正保3年（1646年）に没した、江戸時代前期の武将・旗本寄合席です。筑紫氏の当主であり、諱は春門、従門、茂成と変遷し、最終的に広門と名乗りました。通称は善吉郎、官位は従五位下主水正。3000石の知行を得ていました。

生涯

筑紫広門の出自については、複数の系図や資料で異なる記述が見られます。

『武藤系図』: 勝山で生まれとされます。
『寛政重修諸家譜』: 筑紫惟門の次男としています。しかし、惟門の没年と広門の生年が矛盾するため、この記述には疑問が残ります。また、同書では広門が筑紫広門（上野介）の養子であると明記されています。
その他の系図: 広門（上野介）の弟・左衛門大夫晴門（春門）と混同されている可能性や、晴門の実子である可能性も指摘されています。

これらのことから、広門は筑紫惟門の実子ではなく、広門（上野介）の養子であった可能性が高いと考えられます。


広門は、慶長3年（1598年）に、島津義弘、立花宗茂らと共に露梁海戦に参戦しました。慶長4年（1599年）には父の跡を継ぎ、広門と改名し、従五位下・主水正に叙任されました。しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは西軍に味方し、大津城の戦いに参加したため、西軍敗北後、浪人となり肥後国に住みました。

慶長19年（1614年）、小倉藩主の細川忠興に罪を謝罪し、大坂の陣に参戦。元和元年（1615年）には京都で徳川家康に謁見しました。

寛永4年（1627年）、旗本寄合席に列し、豊後国速見郡に3000石の知行を与えられました。葬地は浅草の永見寺で、以降、永見寺は筑紫家の代々の葬地となりました。家督と知行は養子の筑紫信門が相続しました。法名は『寛政重修諸家譜』では「良鐡」、『武藤系図』では「勢巌良鐡居士」とされています。

系譜

父: 筑紫惟門（諸説あり）
母: 不詳
養父: 筑紫広門（上野介）
妻: 片岡喜平次（豊臣氏家臣）の娘
養子: 筑紫信門（主水、筑紫広門（上野介）の子）

脚注

広門の出自については、複数の資料で記述が異なっており、いまだ解明されていない点が多く残されています。特に『寛政重修諸家譜』と『武藤系図』の間には、出生に関する記述の矛盾が見られます。今後の研究によって、より正確な情報が明らかになることが期待されます。

参考文献

『新訂寛政重修諸家譜 第12』（続群書類従完成会、1965年）
『寛政重修諸家譜 巻七百三十八』
『姓氏家系大辞典　第二巻　キート』（角川書店、1963年）
武藤系図
筑紫系図
少弐系図

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