算師

算師（さんし）

算師とは、古代日本の律令制において計算業務を担う官職を指します。主に主計寮や主税寮、さらには大宰府などで設置され、後に修理職や木工寮、さらには土木や造営関連のプロジェクトにおいてもその役割を担いました。

概要

主計寮および主税寮に設置された算師は、各々2名が定員で、位階は従八位下と定められていました。これらの官職は、都における税収とその支出の計算業務を行い、主計寮では庸や調の集計、用度の算出を担当。主税寮では租の集計を行いました。この算師の役割は、税金の流れを正確に把握し、国家の財政管理に寄与するものでした。

大宰府における算師は、最初は1名しかいなかったものの、弘仁5年（814年）以降は2名に増員されました。彼らは九州全域における租税の集計を担当し、弘仁13年（822年）には、正税帳使として上洛し、その状況を報告する義務も抱えることになりました。

弘仁13年（822年）には、算師が修理職に配属され、その後も年代不詳ではありますが、延喜式編纂以前には木工寮にも算師が設けられることとなります。この算師の採用基準や待遇は、主計寮や主税寮の算師と同様でした。

算師の役割と教育

算師は、財政だけでなく土木や造営関連の事業でも必要とされ、令外官としての役割を果たしました。具体的な例として、奈良時代初期には平城京の造営に伴い造宮省が設置され、その中に算師が配属されました。さらに、天平勝宝5年（755年）には班田の円滑な実施を目的に、平城京を含む多くの地域に各4名の算師が任命された事実が記録されています。

算師の育成は大学寮で行われ、算博士がその責任を担いました。大学寮において約30名の学生が『九章算術』や『周髀算経』などを教科書に使用し、講義を受けました。所定の試験に合格した者が算師として任命されました。しかし、当時の日本においては高度な数学の必要性があまり意識されておらず、実務の基本的な算術知識に留まったとされます。

また、算道を学んだ多くの学生は必ずしも算師にはならず、むしろ一般の下級官人として任官されるケースが多かったと見られています。必要に応じて算術の才能を発揮することもあったでしょうが、算師という専門職に就くことは少なかったようです。

関連項目

• - 算道

このように算師は、律令制の中で税計算を通じて国家の成り立ちに寄与した重要な職業でありました。

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