紀元前11千年紀以前

紀元前11千年紀以前：人類の足跡と文明の夜明け

紀元前11千年紀以前とは、西暦で10001年前までの時代を指し、現在からおよそ1万2000年以上も遡る、人類の歴史における非常に初期の段階です。この時代は、現生人類（ホモ・サピエンス）の活動と直接関連する範囲に限定して記述します。それ以前の地球や人類の進化については、古人類学、地球史年表、地質時代、宇宙の年表などの関連資料を参照ください。

ホモ・サピエンスの拡散と旧石器文化

この時代は、ホモ・サピエンスが世界各地へと拡散し、独自の文化を築き始めた重要な時期です。主な出来事を時系列に沿って見ていきましょう。

紀元前5万年頃: ホモ・フローレシエンシスという絶滅した人類の種が、この頃に絶滅したと考えられています。
紀元前4万3千年頃: ロシアのドン川流域で、ホモ・サピエンスの遺跡が発見されました。これは、この地域への人類の到達を示す重要な証拠です。
紀元前4万年頃: アボリジニがオーストラリア大陸へ渡来しました。放射性炭素年代測定によると、4万2000～4万5000年前の可能性が高いとされています。
紀元前3万9千年頃: 西シベリアで、デニソワ人という絶滅した人類のグループの活動が確認されています。
紀元前3万年頃: 後期旧石器時代が始まりました。この時代には、より精巧な石器や狩猟技術が発達しました。
日本の旧石器時代: この時代には、日本列島でも旧石器文化が栄えていました。立川ローム基底部（X層）からは、旧石器時代の遺物が多数発見されており、岩宿遺跡の局部磨製石斧などがその代表例です。
紀元前2万8千年頃: ドイツ南西部で発見されたライオンマンは、世界最古の人物（動物）彫刻とされ、オーリニャック文化を代表する作品です。
日本の旧石器時代の狩猟: 日本列島に住んでいた人々は、槍先形尖頭器、細石器、有茎尖頭器、石槍といった狩猟道具を使い、ヘラジカ、ハナイズミモリウシ、オーロックス、ナウマンゾウ、ヤベオオツノジカなどの大型哺乳類から、ニホンジカ、イノシシ、アナグマ、ノウサギなどの中小型哺乳類まで、幅広い動物を狩猟していました。
紀元前2万1千年頃: 鹿児島県の姶良火山の大噴火が発生しました。この噴火は、九州から関東地方にまで及ぶ広大な地域に火山灰を降らせました。この火山灰層は姶良火山灰層（AT）と呼ばれ、現在の鹿児島湾は、この噴火によって形成された姶良カルデラです。この噴火を境に、ナウマンゾウが日本列島から姿を消しました。
最終氷期最寒冷期（紀元前1万8000～1万6000年）: 海面は約150メートル低下し、グレートブリテン島はヨーロッパ大陸と陸続きでした。ベーリング地峡はユーラシア大陸と北アメリカ大陸を繋ぎ、東南アジアのスンダランドやオセアニアのサフル大陸も広がっていました。
紀元前1万8千年頃: 人類はメキシコに到達したと考えられています。
紀元前1万7千年頃: イタリアのロミト洞窟が利用され始めました。オーロックスの線刻画や先端骨形成不全症の人骨が発見されたことで有名です。
紀元前1万6000～1万4000年頃: 沖縄県で、山下町第1洞穴、港川、ビンザアプ人といった旧石器時代終末期から縄文時代草創期の人類の遺跡が発見されています。
紀元前1万5千年頃: 西ヨーロッパでマドレーヌ期が始まり、スペインのアルタミラ洞窟では有名な壁画が描かれました。ウクライナでは、マンモスの骨を使った住居が作られました。
紀元前1万4千年頃: 縄文時代が始まり、縄文土器が作られ始めました。
紀元前1万3千年頃: 南カリフォルニアで発見された人骨は、北米最古級の人骨と考えられています。
紀元前1万2500年頃: レバント地方では、ケバラン文化に代わりナトゥーフ文化が始まり、ネゲヴおよびシナイ半島にはムシャビ文化がありました。
紀元前1万2千年頃: 中国長江流域で陸稲の稲作が始まったと推定されています。また、アメリカ合衆国オレゴン州で発見された人間の糞の化石は、この時代にアメリカ大陸に現生人類がいたことを示唆しています。この頃にはイヌの家畜化も始まりました。
* 紀元前1万1千年頃: 日本では縄文時代草創期にあたり、細石器、有舌尖頭器、豆粒文様土器などが作られました。この頃、日本列島からオオツノシカが絶滅しました。また、ロシアで世界最古級の木像「シギルの偶像」が作られました。

まとめ

紀元前11千年紀以前は、人類が世界各地へ拡散し、それぞれの環境に適応しながら独自の文化を築き始めた時代です。旧石器時代の技術革新、狩猟採集生活、そして稲作の起源といった重要な出来事が起こり、後の文明発展の基礎が築かれました。今後の研究により、この時代の歴史はさらに解明されていくでしょう。

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