練綱

練綱（れん こう）は、明代中期に活躍した官僚であり、字を従道と称しました。彼の家系は蘇州府長洲県にルーツを持ち、祖父は河南道御史を務めた練則成です。1435年、郷試に合格し、国子監で学びました。その後、都察院に勤務し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

1449年、郕王朱祁鈺が監国となると、練綱は国家再建のための八策を上奏しました。同年10月、オイラトのエセン・ハーンが北京に侵攻した際には、和議や都の南遷に強く反対しました。彼は、これらの主張をする者を処刑し、于謙と石亨を軍の指揮官に任命することを主張しました。さらに、大臣を各地の門の守備に配置し、忠孝で知られる親王に勤王の軍を率いさせること、そして陝西の守将に援軍を率いて都に入るよう要請しました。景泰帝はこの提言を全て受け入れ、北京防衛に尽力しました。都御史の陳鎰や刑部尚書の兪士悦の推薦により、練綱は浙江道監察御史に任命され、その能力を高く評価されました。

1450年、練綱は時政に関する五つの重要な提言を上奏しました。翌1451年には、両淮の塩政を巡視し、その中で駙馬都尉の趙輝が塩の専売利益を不正に侵害している事実を突き止め、弾劾しました。1452年の冬には、同僚たちとともに軍事と国政に関する八つの提言を行い、これらもまた受け入れられ、実施に移されました。さらに、吏部の人事選任が不公平であるとして、吏部尚書の何文淵や吏部右侍郎の項文曜の調査を要求しました。景泰帝は彼らを処罰しませんでしたが、練綱らの主張の正当性を認めました。1453年には延綏への出向を命じられ、軍務に参加することとなりました。練綱は自ら僉都御史の役職を求めたものの、景泰帝によって退けられました。

1454年、練綱は福建巡按に任じられましたが、按察使の楊玨と対立し、邠州判官に左遷されました。その後、甘州前衛経歴に転じましたが、父親の死去により辞職し、喪に服しました。彼は尹山の南にある旧邸を修復し、范仲淹と文天祥の像を祀り、そこを終焉の地と定めました。1477年3月23日、練綱は76歳でその生涯を閉じました。

練綱の生涯は、その政治に対する情熱と不正を許さない強い意志を象徴しています。彼は、明代の官僚の中でも特に勇気と正義感に溢れた人物として、後世に名を残しています。

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