羽黒花統司

羽黒花 統司

羽黒花 統司（はぐろはな とうじ、本名：千葉 進）は、大相撲の歴史において「柏鵬時代」と呼ばれた昭和中期に活躍した力士です。1936年3月28日、北海道紋別郡西興部村に生まれ、立浪部屋に所属しました。最高位は東関脇。

相撲界への道と初期のキャリア

地元の高校を卒業後、農業に従事していた千葉少年は、後に横綱となり立浪親方となる安念山の親戚の勧めを受けて角界入りを決意します。1955年9月場所で19歳にして初土俵を踏みました。当初の四股名は本名と同じ「千葉」でした。この場所では番付外と新序で好成績を挙げ、翌場所には序ノ口を飛び越して序二段に番付されました。恵まれた素質から将来を期待され、下位では各段優勝を重ねて立浪部屋の新鋭として順調な昇進を見せました。序二段から幕下にかけて、通算4回の各段優勝を果たしています。

十両昇進までの苦労

順調な出世の途上でしたが、十両昇進を目前にして番付運に恵まれない時期が続きます。1959年7月場所からは四股名を「羽黒花」と改名。幕下14枚目ながら7勝1敗と大きく勝ち越して幕下優勝を果たしますが、翌場所は幕下7枚目に留まります。この場所でも7勝1敗と好成績を収めたものの、翌場所での地位は幕下2枚目に。さらに同場所で新十両への足掛かりとなる6勝を挙げたにもかかわらず、翌1960年1月場所では幕下筆頭に据え置かれてしまいます。しかし、彼は諦めずにこの場所で全勝優勝を遂げ、2度目の幕下優勝を飾ることで、ようやく翌場所での十両昇進を決めました。幕下上位で好成績を繰り返しながらも番付が上がりにくかった背景には、当時の番付枚数削減の影響もあったとされています。

幕内での活躍と大関候補

十両では負け越しなく3場所で通過し、1960年9月場所で新入幕を果たします。続く11月場所では11勝4敗と大きく勝ち越し、初の三賞となる敢闘賞を受賞。これを機にすぐに幕内上位に進出し、三役で活躍するようになります。得意手は左四つからの強烈な吊りや上手投げ。その威力は目覚ましく、当時の横綱であった初代若乃花や大関朝潮といった強豪をも吊り上げるほどでした。その豪快な取り口から、一時は大関昇進も期待される存在となりました。

怪我との闘いと引退

その後、「羽黒川」と四股名を改めて臨んだ1964年7月場所では、関脇の地位で初めて8勝7敗と勝ち越しました。しかし、その直後の同年11月場所前に右肩を脱臼。以前にも経験した怪我の再発に本人も危惧していたと言いますが、この場所を初日から休場します。平幕に番付を落とした翌1965年1月場所は勝ち越して三役復帰を目指しますが、3月場所前の稽古中に今度は右膝を負傷し、場所を全休。続く5月場所も休場を余儀なくされます。7月場所では十両下位まで番付を下げてしまい、幕下陥落を阻止するため、膝の怪我が完治しないまま強行出場。しかし、2日目の相撲で怪我を悪化させてしまいました。強気な性格で知られた羽黒川は「片足でも取る」と語ったものの、相撲を取れる状態ではなく、翌日から再び休場。翌場所には1960年1月場所以来、約5年8か月ぶりに幕下に陥落しました。この場所から再び四股名を「羽黒花」に戻しますが、休場。リハビリに励み一度は快方に向かったかに見えましたが、稽古を再開してまもなく右膝を再び痛めてしまいます。度重なる怪我に力尽きた羽黒花は、1965年11月場所後、師匠に引退を申し出ました。

現役晩年の7場所は怪我に泣かされ、皆勤できたのはわずか1場所のみでした。最終場所となった1965年11月場所の番付は西幕下51枚目でした。

引退後と評価

1961年7月場所で初めて小結に昇進して以来、1964年11月場所まで通算11場所三役を務めました。しかし、三賞受賞は1回に留まり、特に右肩と右膝の度重なる大きな怪我がなければ、大関昇進も夢ではなかったと相撲ファンを嘆かせました。また、三役での勝ち越しが少なかったことや、横綱柏戸に一度も勝てず、大鵬にも1勝しか挙げられなかったなど、上位陣との対戦成績が芳しくなかったことも、大関昇進を逃した要因の一つと言えるでしょう。

引退後は年寄大鳴戸、そして玉垣を襲名し、立浪部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたり、勝負審判も務めました。しかし、1972年10月に日本相撲協会を廃業。その後は千葉県習志野市で相撲料理店を営んでいたと伝えられています。1984年6月3日、肝臓癌のため48歳という若さでこの世を去りました。

主な戦績

通算成績：344勝255敗71休 勝率.579
幕内成績：195勝195敗30休 勝率.500
現役在位：57場所
幕内在位：28場所
三役在位：11場所（関脇5場所、小結6場所）
三賞：敢闘賞1回
金星：3個（初代若乃花、朝潮、栃ノ海 各1個）
各段優勝：幕下2回、三段目1回、序二段1回

改名歴

千葉 → 羽黒花 → 羽黒川 → 羽黒花

年寄変遷

大鳴戸 → 玉垣

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