肥前大浦駅

肥前大浦駅（ひぜんおおうらえき）は、佐賀県藤津郡太良町大字大浦丙に所在する、九州旅客鉄道（JR九州）長崎本線の鉄道駅です。佐賀県内の駅としては最も南に位置しており、隣の小長井駅との間に佐賀県と長崎県の県境が横たわっています。

概要

当駅に停車するのは普通列車のみですが、一部の列車は肥前浜方面から到着した後、当駅で折り返します。また、朝には当駅を始発とする諫早行きの列車が1本設定されています。県境を越える当駅と小長井駅の間は、長崎本線の中でも特に列車本数が少なく、上下線とも午前中から午後にかけて4～6時間ほど列車の運行がない時間帯が存在します。

過去には、現在の普通列車停車駅という姿とは異なる一面もありました。1957年（昭和32年）から翌1958年（昭和33年）にかけてのおよそ1年間、上りの寝台特急「さちかぜ」が停車していた時期があります。「さちかぜ」が1958年10月に「平和」（後に「さくら」に改称）へと変更されたのと同時に、当駅への停車は取り止めとなりました。

近年のダイヤ改正では、運転体系の一部に変更が見られます。2022年（令和4年）9月の改正では、諫早・長崎方面へ向かう最終列車の時刻が18時35分発となりました。また、夜の時間帯には肥前浜方面から当駅終着となる列車が4本設定され、そのうち2本は折り返して上り列車として運転されています。

歴史

肥前大浦駅は、1934年（昭和9年）12月1日に開業しました。これは、鉄道省長崎本線が多良駅から湯江駅間まで延伸され、現在の長与駅を経由するルートで長崎までの全線が開通した際に、一般駅として開設されたものです。既に他の場所にあった大浦駅と区別するため、「肥前」を冠した駅名となりました。

開業以来、駅の機能は時代と共に変化してきました。1962年（昭和37年）2月15日には貨物の取り扱いが廃止され、さらに1982年（昭和57年）9月20日には荷物扱いも終了しました。これにより、駅での業務体制も見直され、1983年（昭和58年）1月をもって駅員の配置されない無人駅となりました。

国鉄の分割民営化を経て、1987年（昭和62年）4月1日からは九州旅客鉄道（JR九州）の駅として運営されています。また、2022年（令和4年）9月23日には、長崎本線の肥前浜駅から長崎駅間の電化方式が交流から非電化に変更され、当駅も非電化区間の駅となりました。

駅構造

駅の構造は、島式ホーム1面2線を持つ地上駅です。駅舎とホームの間は地下道で連絡されており、旅客はこの地下道を通ってホームへアクセスします。線路の配置は、特急列車などが通過する際に一方の線路を高速で通過できる1線スルー方式ではなく、原則として列車は左側の線路を使用する構造です。

しかし、当駅で折り返す列車や、近隣駅から回送されてきて当駅を始発とする列車が設定されているため、ホームの両側（1番のりばと2番のりば）どちらからも、上り・下りの双方へ出発できる構造となっています。かつて817系電車が入線していた2022年 9月22日以前は、車両に合わせてホームの一部が2両分かさ上げされていました。

現在は無人駅ですが、以前は国道207号線を挟んだ場所にある商店に簡易委託されており、そこで乗車券を購入することが可能でした。

利用状況

駅の利用状況については、2016年（平成28年）度の1日平均乗車人員が145人であったことが公表されています。しかし、2017年（平成29年）度以降のデータは非公表となっています。

駅周辺

駅の周辺には、大浦港が近くにあり、地域の主要道路である国道207号線が通っています。行政施設としては太良町役場大浦支所が、金融機関としては佐賀西信用組合大浦支所やJAさが大浦支所、そして大浦郵便局などがあります。

また、駅からアクセスできる場所には、祐徳バスの停留所「肥前大浦駅前」があり、鹿島バスセンターや竹崎港方面への路線が利用できます。さらに、観光やレジャー関連では白浜海水浴場や、たら竹崎温泉といった場所が点在しています。教育施設としては、太良町立大浦小学校、太良町立大浦中学校も近くに位置しています。

バス路線

当駅には、以下のバス路線が乗り入れています。

祐徳バス「大浦駅前」バス停
鹿島バスセンター - 中川 - 浜駅前 - 道の駅鹿島前 - 道の駅太良前 - 多良駅前 - 糸岐本町 - 大浦駅前 - 竹崎港を結ぶ路線が運行されています。
太良町コミュニティバス「大浦駅前」バス停
曜日限定運行の地域内路線が複数利用可能です。（広谷・多良線、広谷線、道越・多良線、道越巡回線、今里・多良線、今里線、大浦駅・役場線など）

隣の駅

九州旅客鉄道（JR九州）

■長崎本線

■普通
多良駅 - （里信号場） - 肥前大浦駅 - （土井崎信号場） - 小長井駅

もう一度検索