肥州山栄

肥州山栄（ひしゅうざん さかえ）について

肥州山栄は、1906年8月25日に長崎県佐世保市東浜町に生まれ、本名は松本栄です。彼は出羽海部屋に所属し、長身を活かした取り組みで知られ、大相撲界で名を馳せました。最高位は東関脇で、得意技には左四つ、吊り、突っ張りがありました。現役時代の体格は180cm、109kgと、力士としては優れた体型を誇っていました。

来歴

肥州山は、漁師の家に生まれ育ちました。彼は1926年秋に上京し、明治神宮競技大会の相撲部門に参加した際、出羽海親方の目に留まり、同年の年末には出羽海部屋に入門しました。1927年1月場所で初土俵を踏み、序ノ口で2場所連続全勝優勝を果たしたことで自信をつけました。彼は1929年9月場所で西幕下14枚目ながら6勝0敗で全勝優勝を成し遂げ、1930年1月場所で新十両昇進を果たしました。

肥州山は、特にその圧倒的な体格と鋭い眼光で注目されました。彼の取り口は、強力な突っ張りや吊り上げに加え、的確な足腰の使い方でも知られており、時折見せるうっちゃり技も魅力的でした。しかし、好不調の変動が大きく、1931年1月場所で新入幕を果たしたものの、1932年には春秋園事件により一時的に相撲協会を脱退しました。彼は関西角力協会に参入し、その間に関脇まで昇進し、1933年には同協会主催のトーナメントで優勝を果たします。関西角力協会の解散後、肥州山は1937年に日本相撲協会へ復帰し、十両力士として再スタートしました。

その後、1939年1月場所で幕内復帰を果たし、12勝1敗という好成績を収めました。彼は関脇として3場所務め、その力を発揮し続けました。特に1940年5月場所での双葉山定次からの金星奪取や、1941年に羽黒山政司に黒星を付けたことは彼の名声を高めました。肥州山は38歳まで現役の座を維持し、1945年に引退しました。

引退後

引退後、肥州山は年寄として日本相撲協会に残ることなく、地元の長崎県に戻り、家業を継ぎ網元と呼ばれる漁業者に転身しました。彼は相撲界から離れた後も、地元での生活に専念しましたが、1980年9月11日に心不全により佐世保市内の病院で亡くなりました。享年74歳でした。

人物・エピソード

彼は春秋園事件で相撲協会を脱退した際、脱退力士の荷物を出羽海部屋へ引き取りに行く役目を担いました。当時、彼は周囲から冷ややかな視線を向けられていたため、鋭い眼光を持つ肥州山がその役割に適していたとされています。

主な成績・記録

• - 通算成績：211勝153敗（勝率.580）
• - 幕内成績：115勝119敗（勝率.491）
• - 現役在位：37場所
• - 幕内在位：18場所
• - 三役在位：3場所（関脇）
• - 金星：1個（双葉山定次から）

【主な各段優勝】

• - 幕下優勝：1回（1929年9月場所）
• - 序ノ口優勝：2回（1927年5月場所、同年10月場所）

肥州山栄の生涯は、相撲界で多くの栄冠を手にした力士の歩みを示しており、彼の遺産は今なお多くのファンに記憶されています。

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