臥牛山

臥牛山（がぎゅうざん）

岡山県高梁市にある臥牛山は、大松山、小松山、天神丸山、前山の4つの山々の総称です。岡山県百名山の一つであり、高梁川上流県立自然公園の一部を成しています。古くは松山とも呼ばれ、城山、御城山という別名も持っています。山頂の最高地点は天神丸山の約487メートルです。

地理的特徴

臥牛山は高梁盆地の東側に位置し、高梁市街地を取り囲むようにそびえています。北から南へ流れる高梁川が山麓に河成段丘を形成し、その上に高梁の市街地が広がっています。山体は南北に長く、北から順に大松山（約470メートル）、天神の丸（約487メートル）、小松山（約420メートル）、前山（約320メートル）の山頂が連なっています。西側は急峻な崖となって高梁川に接し、北側は佐与谷へと急傾斜しています。南麓には小高下川が流れ、高梁川に合流します。

歴史

臥牛山には、鎌倉時代から中世、近世にかけて砦や城郭が築かれ、その遺構が現在も残っています。特に小松山にある松山城は、江戸時代に備中松山藩の藩庁となり、現存する山城の天守としては最も高い場所に位置していることから、日本三大山城の一つに数えられています。これらの遺構は、国の史跡に指定されています。

「臥牛山」という名称は、南側から見た山の形が、牛が横たわっている姿に似ていることに由来します。城下町が整備されてからは、山名は臥牛山、城下町一帯は松山と呼ばれるようになりました。

自然環境

臥牛山は、岡山県中部の代表的な暖帯自然林であり、城の防備上の理由から伐採がされなかったため、良好な状態で保全されています。小松山周辺には、モミなどの暖帯落葉樹林、アカマツ林、アラカシやウラジロガシなどの常緑広葉樹林が広がっています。中国地方特有の林相を呈し、樹木の種類も多く、235種が確認されています。また、ツル植物も多く見られ、原生林のような状態となっています。タカハシテンナンショウ、キビザクラ、アテツマンサクなどの特殊な植物も見られます。

他にも、ケヤキ、クマノミズキ、コナラ、イヌシデ、アカシデ、アサダ、イロハカエデ、イヌブナ、アベマキ、カツラ、アカガシ、ヤマボウシなど、多くの種類の植物が生息しています。昆虫類も豊富で、野鳥も多く生息しています。

さらに、古くから野生の猿が生息しており、1956年には臥牛山サル生息地が国の天然記念物に指定されています。かつては「臥牛山自然動物園」として公開されていましたが、1991年に閉園しました。

標高

天神の丸山 - 約478m
大松山 - 約470m
小松山 - 約420m
前山 - 約320m

歴史的背景

臥牛山は、古くは松山と呼ばれていました。鎌倉時代には、秋庭三郎重信が、大松山に砦を築いたのが、記録に残る最初の築城とされています。その後、高橋氏、秋庭氏、上野氏、庄氏などが相次いで入城し、戦国時代には三村氏が小松山に城郭を築いて、臥牛山一帯に多数の出丸や出城を整備しました。

江戸時代には、小堀新助・作助親子が松山城を改修し、城下町を整備しました。その後、松山城は備中松山藩の藩庁となり、水谷勝宗が大規模な修築を行いました。現在残る天守閣や櫓などは、その頃のものです。

臥牛山自然動物園

臥牛山には、野生の猿が生息しており、1954年に臥牛山野猿保存会が発足し、翌年から餌付けを開始、臥牛山自然動物園として公開されました。最盛期には200匹以上の猿が生息していましたが、その後、入場者の減少や猿の生息環境の悪化により、1991年に閉園しました。現在は、約160頭の猿が、指定された生息地を中心に遊動しています。



臥牛山は、歴史と自然が豊かに融合した場所として、多くの人々に愛されています。

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