臧質

臧質（ぞう しつ）

臧質（400年 - 454年）は、南朝宋の軍人です。字は含文、本貫は東莞郡莒県。

生涯

臧質は、臧熹の子として生まれました。若い頃は鷹狩りや賭博に熱中する日々を送っていましたが、後に劉義符に仕え、官途につきます。喪に服した後、江夏王劉義恭に仕えましたが、その軽率な性格が文帝に知られ、建康に召還されます。

会稽宣長公主の進言により、建平郡太守として地方に赴任。南蛮校尉の劉湛から良太守として評価され、寧遠将軍・歴陽郡太守に転じました。その後も、竟陵内史や江夏内史を歴任し、建武将軍・巴東建平二郡太守となります。

30歳を過ぎる頃には、学問にも励むようになり、史書を読み込み、文章の作成能力も向上しました。また、軍事についても積極的に意見を述べるようになります。文帝は臧質に益州の事務を代行させようとしましたが、実現には至りませんでした。

441年、臧質は建康に召還され、徐兗二州の刺史に任じられます。しかし、浪費癖が祟り、御史の糾弾を受けますが、大赦によって罪を免れます。范曄や徐湛之らと親交を深め、445年に范曄が劉義康を擁立しようとした際には、同志として行動を共にする予定でしたが、たまたま義興郡太守として赴任していたため、難を逃れました。

449年には、文帝に功臣の子として遇されます。

450年、北魏の太武帝が汝南を包囲すると、臧質は寿陽に赴き、汝南の救援に駆けつけました。魏軍が退却すると、周辺の少数民族を撃破するなどの戦果を挙げました。その後、太子左衛率に任じられますが、過去の罪を理由に免官となります。文帝が北伐を計画すると、臧質は無官のまま許昌・洛陽方面に進出。王玄謨が攻略に失敗した滑台の将軍に自ら志願しますが、文帝に許可されませんでした。

魏軍が徐州・豫州に侵攻し、太武帝が彭城に向かうと、臧質は輔国将軍・仮節として徐州の救援に向かいます。盱眙に到着すると、太武帝は既に淮水を渡っており、臧質は盱眙郡太守の沈璞と共に盱眙の防衛にあたりました。451年1月、太武帝は盱眙を総攻撃しますが、臧質は沈璞と共に奮戦し、魏軍に大きな損害を与えました。2月、魏軍は包囲を解いて退却。臧質は、その功績により、雍州刺史に任じられ、開国子に封じられました。

452年、文帝は再び北伐を計画し、臧質に潼関へ向かうよう命じますが、臧質は出立しませんでした。また、国庫の銭を浪費した罪で御史の糾弾を受けましたが、文帝は罪に問いませんでした。

453年、劉劭が文帝を殺害して帝位を簒奪すると、臧質は丹陽尹となり、征虜将軍の号を与えられました。しかし、文帝の死を知った臧質は、劉劭打倒を決意し、劉義宣に協力を要請。武陵王劉駿にも密使を送り、挙兵の準備を始めました。臧質は兵を集め、劉駿のいる尋陽に向かい、征北将軍の号を受け、劉駿軍と共に建康へ進軍。劉駿（孝武帝）が即位すると、都督江州諸軍事・車騎将軍・開府儀同三司・江州刺史に任じられ、始興郡公に封じられました。

孝武帝の即位後、南郡王劉義宣は自身の処遇に不満を募らせ、臧質や魯爽と共謀して挙兵を計画しますが、魯爽が計画に反して独断で挙兵したため、やむなく劉義宣と臧質も挙兵します。しかし、薛安都らに敗れて尋陽に退却。臧質は妓妾を連れて西へ逃亡しますが、頼ろうとした羊沖は既に殺害されていました。南湖に逃げ隠れましたが、追っ手に見つかり、殺害されました。享年55歳。その首は建康に送られ、王莽の例に倣って武庫にしまわれたといいます。

子女

臧敦（征虜将軍・雍州刺史）
臧敷（司徒属）
臧敞（太子洗馬）
臧斁

伝記資料

『宋書』巻74 列伝第34
『南史』巻18 列伝第8

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