臧熹

臧熹（ぞう き）

臧熹（375年 - 413年）は、東晋末期の軍人であり、字は義和といい、本貫は東莞郡莒県です。彼は臧俊の子として生まれ、臧愛親の弟にあたります。

生涯

臧熹は兄の臧燾とともに幼い頃から古典を好みましたが、隆安年間に兵乱が頻発するようになると、武術を学び、軍功を立てることを志しました。溧陽県に滞在した際、県令の阮崇と狩りに出かけ、突進してきた虎を間一髪で射止めるという逸話が残っています。

404年、劉裕が桓玄打倒のために挙兵すると、臧熹はこれに従い、京口占拠の際には、族子の臧穆が桓修を討ち取るという功績を挙げました。劉裕が建康に進軍し、桓玄が敗走すると、臧熹は劉裕の命を受け、宮殿に入り、宮中の図書や器物を接収し、府庫に封印する役目を果たしました。その後、劉裕の下で様々な官職を歴任し、桓玄討伐の功績により始興県五等侯に封じられました。

409年、劉裕が南燕に対する北伐を計画した際、東晋朝廷内では反対意見が多数を占めていましたが、臧熹は劉裕の北伐を強く支持しました。しかし、北伐軍への従軍は許可されず、建威将軍・臨海郡太守に任じられました。当時の臨海郡は治安が極めて悪化していましたが、臧熹は綱紀を粛正し、流民の定住を促進することで、郡の安定化に大きく貢献しました。

410年、孫処が海路から広州を襲撃する際、臨海郡を経由しましたが、臧熹が補給部隊を派遣したため、孫処は物資不足に悩まされることなく進軍できました。その後、臧熹は建康に召還され、散騎常侍に任じられますが、母親の死去により職を辞し、喪に服しました。

412年、劉裕が劉毅を討伐する際には、寧朔将軍の号を受け、413年には、劉裕が朱齢石を派遣して後蜀を討伐するのに伴い、水軍を率いて朱齢石に従い、寧朔将軍のまま建平巴東二郡太守を兼任しました。牛鞞において後蜀の将軍である譙撫之を破り、追撃してこれを討ち取るという戦功を挙げました。しかし、成都が平定された直後、病に倒れ、蜀郡牛鞞県で39歳という若さで亡くなりました。死後、光禄勲の位が追贈されました。

臧熹の息子には、臧質がいます。

伝記資料

『宋書』巻74 列伝第34
『南史』巻18 列伝第8

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