舘合駅

舘合駅（たてあいえき）

概要

舘合駅は、かつて秋田県平鹿郡雄物川町薄井中鳥屋場（現在の横手市雄物川町薄井中鳥屋場）に設けられていた、羽後交通横荘線の鉄道駅です。その歴史は横荘鉄道時代に始まり、路線の一部廃止に伴い1969年1月16日にその役目を終えました。駅名の表記については、「舘合」と「館合」の揺れが見られますが、本項目では羽後交通横荘線の研究書で採用されている「舘合」の表記を用いています。

歴史

この駅は、横荘鉄道が沼館駅から当駅まで路線を延伸したのに伴い、1919年7月15日に終着駅として開業しました。開業当初は一般駅として機能し、駅敷地の取得費用は地元の有力者であり、横荘鉄道の創設委員長であった土田万助氏が寄付したと伝えられています。

翌年の1920年3月24日には、当駅から羽後大森駅間が延伸開業したことで、舘合駅は路線の途中駅となりました。その後、運営会社の名称は何度か変更され、1944年6月1日には羽後鉄道に、1952年2月15日には羽後交通となっています。これに伴い、駅も羽後鉄道横荘線、そして羽後交通横荘線の駅として運営されました。

駅の歴史の中では、自然災害による影響も少なくありませんでした。1947年7月23日には、激しい雨によって路盤や橋脚が損傷し、横荘線全線が運休、当駅も営業を一時休止しました。しかし、7月29日には横手駅から当駅までの区間が復旧し、再び一時的な終着駅として営業を再開。運休していた当駅から老方駅までの区間も、翌1948年11月8日には復旧し、全線での営業が再開されました。

晩年には、路線の命運を左右する事態が発生します。1965年7月9日、水害により雄物川橋梁の橋脚が著しく洗掘されたことで、当駅と二井山駅の間が運休となり、再び当駅が終着駅となりました。調査の結果、他の橋脚も老朽化が進んでいることが判明し、この区間の復旧は困難と見なされます。同年10月21日には、この区間が正式に営業休止となり、翌1966年6月15日には部分廃線に伴い、舘合駅は再度、そして事実上の終着駅となりました。そして、1969年1月16日、沼館駅から当駅間の部分廃線により、舘合駅はその歴史に幕を下ろしました。

駅構造

廃止される直前の舘合駅は、単式ホーム1面1線を持つ地上駅でした。ホームは線路の東側、つまり老方方面に向かって右手側に位置していました。駅構内には旅客扱いを行う本線の他に、複数の側線が設けられていました。具体的には、本線から西側に分岐する機回し線が1線、本線の横手方にある機回し線の分岐器手前から東へ分岐し、駅舎の南側で途切れる行き止まりの側線が1線、そして機回し線が本線に合流する老方方手前で分岐する行き止まりの側線が1線ありました。

この駅は職員が配置されている有人駅でした。駅舎は構内の東側に建てられており、ホームの中央部分に接する形で配置されていました。また、1966年2月時点では、雄物川の河川敷まで延びる砂利採取用の側線も存在したと言われています。この砂利採取線は、1947年の水害で横荘線が運休した際に、雄物川を挟んで残された羽後大森駅方面の車両を回送するために利用されたという記録が残っています。

羽後交通が作成した資料では、駅名が「舘合」と表記されていたことが確認されています。

雄物川橋梁

舘合駅と隣の羽後大森駅の間には雄物川が流れ、これを渡るために全長428メートルにも及ぶ「雄物川橋梁」が架けられていました。この鉄橋は23基の橋脚と24連の橋桁で構成された構造でした。

しかし、建設当時と比較して、河川での砂利採取や堤防工事の影響で雄物川の河床が低下しており、これが後に大きな問題を引き起こします。1965年7月9日に発生した集中豪雨により、特に九号橋脚の根元が激しく洗掘され、同日から列車の運行が休止されました。その後の調査で、他の橋脚も老朽化が進んでいることが明らかになり、橋梁の復旧は極めて困難と判断されました。そして、翌1966年2月4日、職員が見守る中で九号橋脚が実際に倒壊しました。この出来事により、橋梁の復旧は完全に不可能となり、雄物川橋梁の崩落は、羽後交通横荘線の廃止を決定づける大きな要因の一つとなったと考えられています。

駅周辺と駅跡

駅周辺には、秋田県道13号湯沢雄物川大曲線が通っており、その一部区間には、かつて横荘線の線路跡が道路として転用されています。また、近隣には館合郵便局や雄物川があります。

駅が廃止された後の跡地については、現在もその痕跡を確認することができます。2002年3月には、かつての駅があった農業協同組合の敷地内に、当時の雄物川町によって「横荘線 館合駅跡」と記された白い記念碑が建立されました。この記念碑には駅の沿革も記されており、2010年時点でも確認できています。

また、駅跡周辺の線路跡は道路として利用されています。2007年や2010年の時点では、横手方面の線路跡は、かつての鉄道の面影を探すのが難しい状況でしたが、駅跡から雄物川の堤防へ向かう道路は、線路が敷かれていた路盤の跡が残り、鉄道の雰囲気を比較的感じ取ることができたと言われています。

雄物川橋梁については、1996年時点では橋脚の多くが河川改修のために爆破撤去されていましたが、羽後大森方面の岸辺には橋台や丸い橋脚の基礎部分が中州に一部残存しており、1999年や2010年の時点でもその姿を見ることができました。

隣の駅

羽後交通 横荘線
船沼駅 - 舘合駅 - 羽後大森駅

関連項目

* 日本の鉄道駅一覧

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