航空特殊無線技士

航空特殊無線技士（Aeronautical Service Special Radio Operator）について

航空特殊無線技士、通称「航空特」は、電波法に基づいた無線従事者の資格の一つです。この資格は、航空無線通信業務における特定の無線設備の操作を許可するもので、航空業界で働く上で重要な役割を果たします。

概要

航空特殊無線技士は、電波法施行令第2条第2項に規定されている唯一の特殊無線技士です。以前の無線電話丙種に相当する資格であり、第一級・第二級総合無線通信士、航空無線通信士の下位資格にあたります。国際電気通信連合憲章に規定される「航空移動業務に関する制限無線電話通信士証明書」に該当しますが、免許証自体にはその旨は記載されていません。

操作範囲

操作範囲は電波法施行令第3条によって定められており、25.01MHz以上のVHF帯を使用する航空関係の無線局での無線設備操作が可能です。具体的には、外部の転換装置で電波の質に影響を与えない範囲での技術操作に限定されます。アマチュア無線技士の操作範囲とは異なり、アマチュア局の無線設備を運用することはできません。

免許証関係事項証明

航空特の免許証は、国際的な基準である「航空移動業務に関する制限無線電話通信士証明書」に相当します。しかし、国内通信に限定されるため、免許証にその旨は記載されていません。免許に関する事項の証明が必要な場合は、邦文または英文の証明書を請求できます。英文証明書には、資格名に加え、ITUの無線規則に準拠して発行された旨が記載されます。

取得方法

航空特殊無線技士の資格を取得するには、以下のいずれかの方法があります。

1. 国家試験に合格する
日本無線協会が年3回（6月、10月、2月）実施する国家試験に合格する必要があります。
試験科目は無線工学、法規、電気通信術で、無線工学と法規は筆記試験、電気通信術は実技試験です。
電気通信術は、1分間に50字の速度で欧文通話表を用いた送話と受話を行います。
陸上無線技術士の資格を持つ者は無線工学が免除されますが、科目合格制度はないため、一度の試験で全科目に合格する必要があります。
受験料は2020年4月1日現在で6,400円です。
2. 養成課程を修了する
総務大臣の認定を受けた団体（認定施設者）が実施する養成課程を修了することでも取得できます。
日本無線協会も養成課程を実施しており、保有資格に応じて授業時間が軽減される場合があります。
授業はeラーニングで受講することも可能です。
修了試験は筆記試験が中心で、CBT方式での受験も可能です。
3. 長期型養成課程を修了する
1年以上の教育課程で無線通信に関する科目を設置している学校等が認定施設者となり、長期型養成課程を実施しています。
こちらもeラーニングによる授業が可能です。

試験科目と内容

無線工学：無線設備の取扱方法（空中線系、無線機器の機能の概念を含む）。
法規：電波法及びこれに基づく命令の簡略な概要。
電気通信術：電話による欧文（無線局運用規則別表第5号の欧文通話表による）1分間50字の速度での送話と受話。

制度の変遷

1990年：制定当初は和文の電気通信術がありましたが、1分間50字の速度で送話と受話を行う必要がありました。
1996年：長期型養成課程での取得が可能になり、和文の電気通信術が廃止されました。
2009年：営利団体が養成課程を実施できるようになりました。
2013年：養成課程（長期型養成課程を含む）でeラーニングによる授業とCBTによる修了試験が可能になりました。

実態

航空特殊無線技士は、自家用操縦士や航空機の地上職員など、航空関係の仕事に携わる人々にとって必要不可欠な資格です。特に航空機局や航空局での無線設備操作には、この資格が必須です。航空運送事業以外の航空機に開設された航空機局や、その航空機と通信を行う航空局でVHF以上の無線設備が操作できます。

航空機に乗り組んで無線設備の操作を行うためには、運航従事者の技能証明および航空身体検査証明も必要です。

その他

受験科目の免除：航空無線通信士国家試験における電気通信術が免除される場合があります。
受験・受講資格：主任[[無線従事者]]講習の受講資格や、甲種消防設備士試験の一部の免除に利用できる場合があります。

スカイスポーツで使用される無線は、陸上特殊無線技士の資格が必要です。デジタル簡易無線登録局では無線従事者の配置は不要です。

この資格は、航空業界で活躍するために非常に重要なものです。無線通信技術に興味のある方は、ぜひ取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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