花の47年組

花の47年組：中央競馬史に輝く伝説の世代

1972年、クラシック三冠の舞台を沸かせた1969年生まれの競走馬たち。彼らは「花の47年組」と呼ばれ、中央競馬史において最強世代の一つに数えられています。4年前の「43年組」に匹敵するほどの豪華な顔ぶれが揃い、その競争は激しく、ドラマチックでした。

時代の波と激動のクラシック

この世代のクラシック戦線は、1971年末の馬インフルエンザ発生による競馬開催中止の影響を大きく受けました。特に、東京優駿（日本ダービー）は例年より大幅に遅れて7月9日に行われ、「七夕ダービー」という異名が付くほどでした。

当初は、1971年の阪神3歳ステークスを制したヒデハヤテが最強候補と目されていましたが、スプリングステークスでの故障によりクラシックを前に戦線離脱。馬インフルエンザの影響による痛恨の離脱は、この世代の大きな出来事でした。

その後、クラシック戦線はロングエース、タイテエム、ランドプリンスの三強による激しい争いとなりました。皐月賞を制したのはランドプリンスでしたが、ダービーではロングエースがクビ差で勝利します。そして、菊花賞では春シーズンで三強の後塵を拝していたイシノヒカルが優勝、年度代表馬にも輝き、この世代の競争の激しさを象徴する結果となりました。

ダービーで3着、菊花賞で2着と惜しくも三冠を逃したタイテエムは、「無冠の帝王」または「無冠の貴公子」という異名で呼ばれることになります。

この世代の活躍は、クラシックにとどまりませんでした。年末に行われた有馬記念でも、イシノヒカルが優勝。ロングエースは引退、イシノヒカルは屈腱炎を発症して長期休養後早々に引退、ランドプリンスも不調で引退と、三強を含む多くの馬が4歳でその競走生活を終えました。ロングエースの騎手であった武邦彦は、この世代の競争の激しさについて、「ライバルたちが強すぎた。少しでも油断すると負けてしまう、そんな戦いが続いた」と振り返っています。

5歳以降の活躍と世代の終焉

5歳となった1973年、タイテエムは天皇賞で優勝し、「無冠の帝王」の称号を返上しました。しかし、この年の宝塚記念では、クラシック三冠未出走のハマノパレードが優勝、続く高松宮杯での骨折により屠殺されるという悲劇的な最期を遂げました。タイテエムも宝塚記念を最後に引退します。

その後も47年組の活躍は続きます。長期休養から復帰したタニノチカラは、最下級条件から連勝を重ね、天皇賞で優勝。年末の有馬記念では、ハイセイコーを意識したレース運びが裏目に出たものの、このレースを制したのは47年組のストロングエイトでした。

1974年には、ハイセイコーやタケホープなど48年組の活躍が目立つようになりますが、タニノチカラは有馬記念で両馬を5馬身差で圧倒する圧勝を収めます。しかし、ストロングエイトは1975年に引退。タニノチカラも故障により引退し、47年組の八大競走優勝馬は全て姿を消しました。

八大競走では優勝できなかったものの、重賞5勝、レコード勝利4回という輝かしい成績を残したナオキや、障害競走で中山大障害4連覇を達成し、障害馬として唯一の殿堂入りを果たしたグランド[[マーチス]]など、47年組には様々な名馬がいました。

他の世代との比較

「花の47年組」の強さは、しばしばトウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスを代表とする「TTG世代」（1976年生まれ）と比較されました。両世代の活躍は、競馬史における永遠の議論となっています。

「花の47年組」は、その競争の激しさ、そして個々の馬の輝かしい活躍によって、中央競馬史に燦然と輝く伝説の世代として、いつまでも記憶に刻まれています。彼らの物語は、多くの競馬ファンを魅了し続け、後世に語り継がれることでしょう。

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