花山院通雅

花山院通雅（かさんのいん みちまさ）

花山院通雅は、鎌倉時代前期から中期にかけて活躍した公卿です。右大臣を務めた花山院定雅の長男として生まれ、花山院家の7代目当主となりました。「後花山院太政大臣」とも称されます。

生涯

貞永2年（1233年）に従五位下に叙爵されたのを皮切りに、文暦2年（1236年）には従五位上・侍従に任ぜられます。その後も順調に昇進を重ね、嘉禎3年（1237年）には従四位下、さらに従四位上へと位階を上げました。

延応2年（1241年）には正四位下に昇叙。仁治4年（1243年）には12歳で元服し、左近衛権中将に任ぜられるという異例の若さで要職に就きます。寛元5年（1247年）には従三位に叙せられ、公卿の仲間入りを果たし、宝治2年（1248年）には越前権守を兼任しました。建長2年（1250年）には正三位・参議に叙任され、建長3年（1251年）には権中納言に任ぜられ、帯剣を許されるなど、その才能が高く評価されていたことが窺えます。康元2年（1257年）には正二位・権大納言に昇進しました。

弘長2年（1262年）には右近衛大将・右馬寮御監を兼帯。文永5年（1269年）には内大臣に任ぜられ、文永6年（1269年）には右大臣にまで上り詰めました。しかし、文永8年（1271年）に右大臣を辞任。建治元年（1275年）には従一位・太政大臣に叙任され、再び政権の中枢に返り咲きますが、翌建治2年（1276年）に病のため太政大臣を辞退し、同年4月に出家（法名：空理）。同年5月4日に45歳で薨去しました。

文化的な業績

宝治2年（1248年）には、後嵯峨天皇の宇治御幸の顛末を記した『宇治御幸記』を著しています。この記録は、当時の宮廷文化や儀式の様子を知る上で貴重な資料となっています。

官歴

貞永2年（1233年）正月5日：従五位下
文暦2年（1236年）12月21日：従五位上、侍従
嘉禎3年（1237年）2月11日：従四位下。12月：従四位上
延応2年（1241年）12月2日：正四位下
仁治4年（1243年）4月3日：元服、禁色。12月5日：左近衛権中将
寛元5年（1247年）正月5日：従三位、左近衛権中将如元
宝治2年（1248年）正月23日：越前権守
建長2年（1250年）5月17日：参議。5月20日：正三位、左近衛権中将。12月24日：右近衛権中将
建長3年（1251年）正月22日：権中納言。2月13日：帯剣
康元2年（1257年）正月：正二位。11月26日：権大納言
弘長2年（1262年）7月16日：右近衛大将。7月28日：右馬寮御監
文永元年（1265年）12月29日：服解（母）
文永2年（1265年）3月9日：復任
文永5年（1268年）11月9日：内大臣兼宣旨。12月2日：内大臣、右近衛大将如元
文永6年（1269年）正月19日：右近衛大将辞任。4月23日：右大臣
文永8年（1271年）3月10日：右大臣辞任
建治元年（1275年）8月27日：従一位、太政大臣
建治2年（1276年）3月29日：太政大臣辞任。4月30日：出家。5月4日：薨去

系譜

父：花山院定雅
母：二条定高の娘
妻：藤原国通の娘
長男：花山院家長（1253-1274）
妻：中院通方の娘
次男：花山院家教（1261-1297）
妻：園基氏の娘
子女：花山院通定、雲雅、円雅

参考文献

* 『花山院家譜』（東京大学史料編纂所蔵）

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