茨城百景

茨城百景（いばらきひゃっけい）

茨城百景は、1950年（昭和25年）5月10日付けの茨城県告示第211号をもって制定された、茨城県内における優れた景勝地100ヶ所を指します。これは、当時の茨城県観光審議会によって丹念に選ばれたもので、県内の多様な自然景観、歴史的遺産、文化的資産を含む多岐にわたる場所がリストアップされました。

この百景には、現代においても広く知られる名所旧跡が数多く含まれています。例えば、県央地域からは、日本三名園の一つに数えられる水戸市の偕楽園や、歴史的な弘道館と水戸城址、風光明媚な保和苑、そして広大な涸沼などが選定されています。また、大洗海岸や那珂川沿いの景勝地もこの地域に含まれます。

県北地域には、日立市に象徴的な日立の大煙突や、高鈴山などの山岳景勝地、北茨城市の五浦や磯原海岸といった太平洋沿いの景観、高萩市の花貫渓谷や大北渓といった渓谷美が挙げられます。さらに、奥久慈地域からは、壮大な袋田の滝や神秘的な八溝山、久慈川沿いの美しい景観などが選ばれています。歴史的な天龍院や、水戸光圀公ゆかりの西山荘もこのエリアに含まれています。

県南地域では、広大な霞ヶ浦とその周辺の景観、土浦市の桜川堤と亀城公園、石岡市の閉居山や筑波山の眺望などが選ばれています。特に筑波山は、男体山・女体山を中心に、周辺の白滝や筑波神社などを含めて百景に数えられています。牛久沼や稲敷市に広がる水辺の景観もこの地域を代表する景勝地です。

県西地域には、笠間稲荷神社とその周辺の佐白山、雨引観音、下妻市の砂沼、筑西市の中館観音などが含まれます。歴史的な真壁城址や、結城史跡、さらには平将門ゆかりの岩井のハイキングコースなどもこのリストに名を連ねています。古河市を中心とした利根川沿いの景観も特徴的です。

鹿行地域には、強力なパワースポットとして知られる鹿島神宮の周辺景勝地、利根川河口の風景、広大な鹿島砂丘などが含まれます。また、水郷地帯を代表する潮来の水郷景観や麻生、牛堀といった地域も百景として選定されています。

制定から70年以上が経過した現在、当時の景観から変化が生じた場所や、中には往時の面影をとどめない場所も存在します。しかし、これらの変更について、新たな告示が出されるなどの措置は講じられていません。茨城百景は、制定当時の茨城県が誇るべき観光資源、自然美、歴史的・文化的価値を持つ場所を公式に示したリストとして、今なおその価値を持っています。多くの選定地は、現在も県内外からの観光客に親しまれる名所となっています。

このリストは、戦後間もない時期に茨城県が観光振興に力を入れ、県内の魅力を再発見・発信しようとした取り組みの一つと言えるでしょう。それぞれの場所に秘められた物語や歴史に触れることで、茨城県の奥深さを感じることができます。茨城百景を通して感じ取ることができます。

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