茨田弓束

茨田弓束の生涯と官歴

茨田弓束（まんだ の ゆつか）という女性は、奈良時代中期において重要な役割を果たした女官です。彼女に関する記録は限られていますが、史料を通じて彼女の昇進や功績が確認されており、時代背景を考慮しながらその生涯を探求する価値があります。

出自と初期の昇進

茨田弓束の正確な生没年は不詳ですが、彼女の名前はまず天平17年（745年）の記録に登場します。この年の正月、彼女は無位の状態から外従五位下に昇進したと記されています。この昇進は、当時の奈良時代において重要な職務に就くための初めの一歩であったと考えられます。

当初、弓束は「無姓」と記されていましたが、後の記録において「宿禰」の姓を賜るとされています。宿禰姓は当時の貴族社会において名誉あるものであり、それを受け取ることが彼女の地位を一層高める契機となったことは間違いありません。

宿禰姓の授与

天平19年（747年）6月、弓束は一族の従八位下である茨田枚野とともに宿禰姓を授かったことが記録されています。この姓の賜与は彼女の地位や役割の重要性を示すものであり、女性が官位を持ち、地位を築くことができる社会環境が整いつつあったことを意味します。彼女は、男性中心の時代においても自らの力を発揮し、作業や政務において頭角を現していったのです。

正五位上への昇格

その後、天平勝宝元年（749年）10月、天皇が河内国智識寺を訪れた際に、弓束は行宮を提供したことが記されています。この行幸の際、彼女は正五位上というさらなる昇進を果たしました。この位階は当時の女性官人としては非常に高いものであり、彼女の忠誠心や働きが評価されたことを示しています。

その後の動静

しかし、その後の茨田弓束についての記録は残されていないため、彼女の生涯の終焉やその後の活動については不明な点が多いのが現実です。彼女の昇進や貢献は、奈良時代の女性たちが政界において重要な役割を果たしたことを示す一つの事例であり、当時の女性地位向上を象徴する存在だといえるでしょう。

参考文献

• - 『[続日本紀]]』3　新日本古典文学大系14　岩波書店、1992年
• - 宇治谷孟訳『続日本紀]』[[講談社〈講談社学術文庫〉、1992年
• - 『日本古代人名辞典』6 - p1639、竹内理三・山田英雄・平野邦雄編、吉川弘文館、1973年

このように、茨田弓束の生涯は、女官としての地位やその社会的背景を知る手がかりとなり、奈良時代における女性の役割について考察するきっかけを与えてくれます。

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