莅戸政以

莅戸 政以（のぞき まさもち）

江戸時代後期、出羽国米沢藩の誇り高い藩士、莅戸政以は、藩政における重要な役割を果たしました。政以は、当時の政治的な影響力を持っていた上杉治憲（鷹山）の重臣、莅戸善政の嫡子として生まれました。彼の家格は、馬廻組から始まり、後に一代侍組に昇格します。彼には、同じく藩士として活動する息子、莅戸政在と杉原美親がいました。

経歴

莅戸政以は安永5年（1776年）、藩校興譲館が落成した際、最年少の定詰勤学生として舌舐めずりします。その後、天明3年（1783年）に父、善政が隠居し、衛兵となると同時に家督を相続しました。政以は父と同じく仲之間詰として活躍し、寛政元年（1789年）には世子上杉顕孝の用人として抜擢されます。さらに、寛政2年（1790年）には顕孝の伝役および小姓頭次席の役職に就任し、彼の死後は上杉斉定の伝役に移ることとなりました。

父が隠居の後も中老職として政務に参加し、寛政10年（1798年）には父の補佐として中老職に昇進します。享和4年（1804年）、父の死去に際し、彼は奉行と郷村頭取、御勝手方などの役職を引き継ぎ、藩政の先頭に立つこととなりました。しかし、政以はその在職中に生涯を閉じることになります。彼の遺言には、藩主鷹山からの親書が寄せられました。奉行職は大石綱豊に継承されましたが、莅戸家はその後、子の政在の代に永代侍組となります。

また、細井平洲亡き後、香坂昌直を推薦し古賀精里の弟子となったことで、朱子学を学ぶ機会を得ました。これは後に藩校が折衷学から朱子学に転換する要因ともなります。

著作

文化7年（1810年）には、上呈された『政体邇言』をはじめ、他にも「学而弁」「子愛篇」などの著作があります。これらの著作は、藩士としての彼の学問や思想が反映されています。

参考文献

• - 横山昭男「上杉鷹山」吉川弘文館
• - 家臣人名事典編纂委員会「三百藩家臣人名事典1」新人物往来社
• - 横山昭男ほか「上杉鷹山のすべて」（1989年初版・新人物往来社）

莅戸政以は、米沢藩に今も語り継がれる重要な存在であり、彼の功績は藩政の発展と学問の面においても大きな足跡を残しました。

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