菅原国隆

菅原国隆

菅原国隆（1926年7月 - 1992年11月25日）は、東京市出身の編集者です。新潮社において数々の作家を担当し、新人育成にも尽力しました。

経歴

父は弁護士の菅原裕で、東京裁判で荒木貞夫の弁護人も務め、東京弁護士会会長も務めました。菅原国隆は東京府立第一中学校から水戸高等学校（現・茨城大学）理科へと進みました。

実家が河盛好蔵の隣にあったことが縁で、戦時中に河盛邸に居候していた齋藤十一と親交を深めます。共にレコードマニアであったことから意気投合し、齋藤に誘われる形で1947年に新潮社に入社しました。

編集者としての活動

新潮社では、『新潮』の編集者として、坂口安吾、檀一雄、井伏鱒二、小林秀雄といった著名な作家を担当しました。また、石原慎太郎、江藤淳、大江健三郎といった新人作家の育成にも力を注ぎました。特に三浦哲郎、阿部昭、田久保英夫は「菅原厩舎」と呼ばれ、将来を嘱望されたそうです。

『週刊新潮』創刊後は、『新潮』の実質的な編集長として、太田治子に『手記』を、立原正秋に『剣ヶ崎』を執筆させました。三島由紀夫の『獣の戯れ』連載時には、取材協力で西伊豆の安良里港を案内しています。

SFに対しては批判的な一面もあり、筒井康隆に「SFをやめて文学を書くように」と助言し、筒井を困惑させたというエピソードも残っています。

川上宗薫が水上勉をモデルにした小説を発表した際には、川上に水上への謝罪文を書くように指示し、その内容に納得がいかないとして書き直しを命じるなど、強硬な一面を見せることもありました。

1967年からは『週刊新潮』編集部に異動しました。没後には、新潮社の岡部泉から、斎藤十一に取り入って出世した人物であるという批判もされています。

晩年は、心筋梗塞や糖尿病により、手足の一部を切断し車椅子での生活を余儀なくされ、視力も衰え、1992年11月25日に亡くなりました。奇しくも三島由紀夫と同じ命日でした。

妻の叔父は画家の菅野圭介です。

略歴

1947年、新潮社入社
『新潮』編集部次長
1967年、『週刊新潮』副部長
1978年、出版部副部長
校閲部長、メディア室長
1985年、役員待遇、のち顧問

参考文献

寺田博編『時代を創った編集者101』（新書館、2003年）
新潮編集部 編『新潮 特集 生誕100周年 よみがえる三島由紀夫』第122巻、第2号、新潮社、2025年2月

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