菊池武夫 (陸軍軍人)

菊池武夫

菊池武夫（きくち たけお、1875年7月23日 - 1955年12月1日）は、日本の陸軍軍人、政治家。貴族院男爵議員であり、最終階級は陸軍中将。功四級男爵。熊本県菊池郡出身。

生涯

熊本県菊池郡で男爵・菊池武臣の息子として生まれました。学習院中等科を経て陸軍幼年学校に入学。陸軍軍人としての道を歩み始めます。

陸軍軍人として

陸軍士官学校、陸軍大学校を卒業後、日露戦争に従軍。歩兵第11旅団長や奉天特務機関長を歴任し、陸軍中将で予備役編入となりました。

1896年、陸軍士官学校を卒業後、歩兵少尉に任官。歩兵第23連隊に配属されました。その後、陸軍士官学校区隊長、陸軍大学校への入校を経て、日露戦争では歩兵第23連隊中隊長として出征。後備第6旅団副官、韓国駐剳軍兵站参謀などを経て陸軍大学校に復校し、卒業後は参謀本部勤務、第16師団参謀、北京駐屯歩兵隊長などを務めました。

1919年にはヨーロッパへ私費留学、男爵を襲爵。帰国後、歩兵第64連隊長、陸軍少将・歩兵第11旅団長、奉天特務機関長などを歴任し、1927年に陸軍中将・参謀本部付となりました。その後、予備役となります。

貴族院議員として

予備役編入後は、1931年から貴族院議員として議会に議席を持ちました。

中島商相筆禍事件では、商工大臣の中島久万吉が足利尊氏を礼賛したことに対し、議会で糾弾し辞任に追い込みました。

天皇機関説事件では、当時の憲法学の通説であった天皇機関説を「国体に反する」と批判し、美濃部達吉を攻撃しました。この批判は、国体明徴運動のきっかけとなり、美濃部が貴族院から追われる一因となりました。しかし、菊池自身も1939年の貴族院議員選挙で落選しています。

その後

反英運動が盛り上がりを見せた際には、運動に参加し演説を行いました。1941年には亜細亜大学の前身となる興亜専門学校を設立し、初代校長と運営母体の理事長を務めました。

第二次世界大戦後、A級戦犯容疑で逮捕されましたが、不起訴処分となり釈放。その後、公職追放となりました。

晩年

釈放後、1955年に死去しました。

年譜

1875年：男爵菊池武臣の嗣子として生まれる。
1896年：陸軍士官学校卒業（7期）。
1897年：陸軍歩兵少尉に任官、歩兵第23連隊付。
1899年：陸軍歩兵中尉、陸軍士官学校区隊長。
1901年：陸軍大学校入校。
1904年：陸軍大学校中退、歩兵第23連隊中隊長、日露戦争に出征、陸軍歩兵大尉。
1904年：後備第6旅団副官。
1905年：韓国駐剳軍兵站参謀。
1905年：帰還。
1906年：陸軍大学校復校、卒業（18期）、参謀本部出仕。
1907年：第16師団参謀。
1908年：陸軍歩兵少佐。
1909年：北京駐屯歩兵隊長
1912年：歩兵第64連隊大隊長。
1913年：陸軍大学校教官。
1914年：陸軍歩兵中佐、参謀本部付（支那政府応聘）。
1917年：陸軍歩兵大佐。
1919年：ヨーロッパへ私費留学、男爵を襲爵。
1920年：帰国、歩兵第64連隊長。
1922年：陸軍少将、歩兵第11旅団長。
1924年：関東軍司令部付（奉天特務機関長）。
1926年：第5師団司令部付。
1927年：陸軍中将、参謀本部付、予備役編入。
1931年：貴族院議員。
1933年：日本精神協会を設立し、会長
1935年：天皇機関説を批判（天皇機関説事件）。
1939年：貴族院議員任期満了。
1940年：熊本県菊池郡隈府町長
1941年：財団法人興亜協会理事長・興亜専門学校長。
1945年：A級戦犯容疑で逮捕。
1946年：釈放。
1955年：死去。

家族・親族

菊池氏は肥後国の名族で、南北朝時代は南朝に属していました。明治になって華族に列せられました。父は旧米良領主の男爵菊池武臣。次男の武親も陸軍に進み、少佐まで昇進しています。

栄典

1908年：正五位
1918年：従四位
1923年：正四位
1927年：従三位
1937年：正三位

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
「菊池武夫伝」西米良村役場編、昭和51年

関連項目

熊本県出身の人物一覧

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