蓬萊ダム

蓬萊ダムについて

蓬萊ダム（ほうらいダム）は、福島県二本松市と福島市の境界に位置する、阿武隈川水系の一級河川に建設された重力式コンクリートダムです。通称飯野堰堤や飯野ダムとも呼ばれ、高さは21.5メートル。東北電力が管理しており、発電用ダムとして機能しています。このダムは、蓬萊発電所と飯野発電所へ水を供給し、合計で最大38,730キロワットの電力を生み出しています。蓬萊ダムは、日本の近代土木遺産の一つとしても注目されています。

歴史

蓬萊ダムの歴史は、1936年に遡ります。当時の東北振興電力が低価格な電力を提供することを目的に設立され、阿武隈川水系で最大の水力発電所を計画しました。その計画に基づき、同年12月26日に施工が開始されました。ダムは、福島県中通りを流れる阿武隈川の峡谷に建設され、蓬萊ダムと信夫ダムの二基のダムが上流から順に設置される計画でした。

工事の過程では、国鉄の路線を利用して資材を運搬し、特に花崗岩が主成分の地質に対して適切な工法が求められました。工事中には洪水の影響を受けることもありましたが、迅速に対処することによって大きな被害を避けました。1938年12月1日、蓬萊発電所が運転を開始し、その後電力業界は国の管理下に置かれることとなりました。1941年には、東北振興電力が日本発送電に合併され、戦後はその後の民営化により東北電力が運営を引き継ぎました。

新しい発電所の建設も行われ、2013年には蓬萊ダムから河川維持流量を利用した飯野発電所が新設されました。この発電所は、最初の試みとして横軸円筒水車発電機を採用し、最大230キロワットの電力を発生させることが可能です。

周辺環境

蓬萊ダムは、福島市の中心市街地から南北に貫通する国道4号から蓬萊橋を経て上流へ進んだところにあります。ここには信夫ダムがあり、蓬萊発電所の逆調整池の役割を果たしています。発電所の運用に合わせて水の放流量が変動するため、信夫ダムが水量を一定に保つことに寄与しています。信夫ダムの下流右岸には信夫発電所が存在し、ここからは農業用水が供給される水路が分岐しています。

国道114号と福島県道306号の交差点を過ぎると、入川補助調整池もあります。ここには高さ11.6メートルの重力式コンクリートダムが設置されており、一時的な水の貯えに役立っています。また、池を過ぎると飯野地区の中心市街に至り、そこから南進すれば蓬萊ダムへアクセスが可能です。

蓬萊ダム周辺は桜の名所でもあり、春には花見客が訪れます。川沿いには遊歩道が整備され、ダムと蓬萊岩へと続いています。ダム湖はカヌーレーシングの公認コースとしても利用され、周辺の自然環境とともに多くの人々に親しまれています。

蓬萊ダムのデザインは、信夫ダムを拡大したようなスタイルを持ち、洪水吐ゲートにはストーニーゲートが採用されています。そのサイズは、日本国内でも最大級とされることがあります。他の地域にも似たような構造を持つダムがありますが、蓬萊ダムは特にその歴史と現代の技術が融合した象徴的な存在と言えるでしょう。

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