蓮沼城

蓮沼城の概要

蓮沼城（はすぬまじょう）は、富山県小矢部市の蓮沼に位置する歴史ある平城です。この城は、東西26間、南北36間の規模を持ち、堀の幅は5間とされています。蓮沼城は、越中國砺波郡に存在した重要な城の一つとして知られており、現在ではとやま城郭カードNo.85に指定されています。

歴史的背景

蓮沼城は室町時代の永享年間（1429年 - 1441年）に、越中守護であった畠山氏の守護代として礪波郡を支配していた遊佐氏によって築かれ、居城として用いられました。特に文明年間（1469年 - 1486年）には、連歌師の宗祇がこの城の主、遊佐長滋のもとを訪れ、多くの連歌を詠むなどして城の名が知られるようになります。宗祇が編纂した『新撰菟玖波集』には、遊佐長滋が詠んだ歌も収録されています。

その後、永正・大永年間（1504年 - 1527年）には、城主遊佐慶親が地域の神社に寄進を行うなどの活動をしていましたが、その後加賀一向一揆勢力の圧迫により、他の地域に亡命を余儀なくされました。蓮沼城は一時、遊佐氏の影響力から離れ、いわゆる一向一揆勢力の支配下に置かれることになります。この時代、蓮沼城は地域での重要な拠点とされていました。

一向一揆と上杉謙信

1569年以降、城は上杉謙信の支配下に置かれることとなります。上杉謙信による攻撃により、天正4年（1576年）にはついに落城。城主であった椎名康胤が敗死するという悲劇が起きます。また、その後の情勢により、織田軍が侵攻して佐々成政の配下となり、蓮沼城は防衛の要所として利用されます。

天正13年（1585年）、成政は豊臣秀吉との直接対決を避けるため、蓮沼城を防衛拠点として位置づけ、近隣の兵糧を集めます。そのため、前田利家が予想外の電撃作戦で蓮沼城を急襲し、城下を焼き討ちする事態へと至ります。この事件によって、蓮沼城の重要性は高まりましたが、同時にその運命も危うくなるのです。

蓮沼城の終焉

蓮沼城はかつて、北陸道の要所として栄えていましたが、経済的にも大きな利点があった小矢部川の水運の恩恵を受け、コメの生産や商業活動に寄与していました。しかし、城の堕落は続き、翌年に新たに築かれた今石動城に機能を移行し、蓮沼の繁栄は終焉を迎えました。この結果、北陸道の主要なルートも変更され、蓮沼の繁栄は過去のものとなってしまいました。

現在の状況

現在では、水田と散居村に囲まれた場所に、往時の蓮沼城の面影を伝える石碑と案内板が設置されていますが、それ以外の遺構らしきものは見当たりません。訪れる者には、かつてこの地が持っていた歴史的意義をすぐには感じ取ることは難しいかもしれません。

周辺の遺構

近隣には、柴田屋館という遺構も存在します。ここは、当時の椎名康胤の家臣が拠点としていた場所ですが、現在は神社の境内に変わっています。僅かに残された土塁などが、彼らの存在を今に伝えています。蓮沼城が落ちた後の礪波郡における一向一揆勢力の動向は、地域史において重要なポイントとなっており、蓮沼城の存在がもたらした影響の大きさを物語っています。

アクセス情報

蓮沼城へのアクセスは、JR城端線の福野駅から加越能バスに乗り、「四日町」バス停で下車し、徒歩約15分の距離に位置しています。また、北陸自動車道の小矢部ICからも車で約10分の地点にあります。

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