薩摩藩遣英使節団とは？意味をやさしく解説

薩摩藩遣英使節団

薩摩藩遣英使節団は、幕末の1865年（元治2年）に薩摩藩がイギリスへ派遣した使節団です。新納久脩（新納中三）、五代友厚、松木弘安（寺島宗則）の3名の視察係と、町田久成、森有礼ら15名の留学生、そして通訳1名の計19名で構成されていました。彼らは、薩摩藩の近代化を推し進める上で、西洋の文化や技術を学ぶことを目的としていました。

使節団の概要

使節団は、1865年4月17日に薩摩国串木野羽島（現在の鹿児島県いちき串木野市）から、トーマス・グラバーの手配したオースタライエン号で出発しました。イギリス到着後、松木弘安は、ローレンス・オリファントを通じてイギリス外相のラッセル伯に雄藩連合政権樹立の構想を説き、イギリスの対日外交に影響を与えたとされています。

また、ロンドンでは、当時まだ敵対関係にあった長州藩の留学生たち（長州五傑）と遭遇するという出来事もありました。使節団は、イギリスだけでなく、フランス、プロイセン、オランダ、ベルギーといったヨーロッパ各国を歴訪し、視察を行いました。

ロンドン滞在中には、ベルギー貴族（フランス国籍）のシャルル・ド・モンブラン伯爵から貿易商社設立の話を持ちかけられ、ブリュッセルで薩摩藩とモンブランの間で商社設立契約が締結されました。さらに、1867年のパリ万国博覧会への参加についても協議を行い、翌1866年（慶応2年）に帰国しました。留学生のうち、森有礼ら6名は、オリファントの紹介で1867年7月にアメリカへ渡っています。

使節団の構成メンバー

使節団は、薩摩藩開成所の者を中心に構成された以下の19名です（役職と年齢は渡航当時）。

視察係：
新納久脩（新納中三）
五代友厚
松木弘安（寺島宗則）
留学生：
町田久成
森有礼
畠山義成
鮫島尚信
吉田清成
松村淳蔵
長澤鼎
その他6名
通訳：
1名

若き薩摩の群像

鹿児島中央駅には、彫刻家の中村晋也によって制作された「若き薩摩の群像」というモニュメントがあります。これは、1982年（昭和57年）に鹿児島市が50万都市を達成したことを記念して建立されました。当初は19人中17人の像のみでしたが、2020年2月12日に薩摩藩出身ではないものの、使節団に同行した堀孝之と高見弥一の像を追加することが決定され、同年9月30日に除幕式が行われました。

薩摩藩遣英使節団の影響

薩摩藩遣英使節団の派遣は、薩摩藩だけでなく、後の日本の近代化に大きな影響を与えました。使節団が持ち帰った西洋の知識や技術は、その後の日本の産業発展や教育制度の整備に貢献しました。また、この経験を通して、国際的な視点を持つ人材が育成されたことも、日本の近代化を加速させる要因の一つとなりました。

薩摩藩遣英使節団