藤原公定 (参議)

藤原公定（ふじわら の きんさだ）

藤原公定は、平安時代後期の公卿であり、藤原北家小野宮流の出身です。権中納言・藤原経家を父に持ち、高松宰相と号しました。

生涯

後冷泉朝の康平3年（1060年）に従五位下に叙せられ、官吏としてのキャリアをスタートさせました。その後、康平6年（1063年）には侍従、治暦2年（1066年）には少納言に任ぜられるなど、順調に昇進を重ねます。

治暦4年（1068年）に従五位上に叙せられると、治暦5年（1069年）には正五位下、同年9月には従四位下、延久3年（1071年）には従四位上と、後冷泉朝末から後三条朝にかけて急速に昇進しました。延久4年（1072年）に白河天皇が即位し、弟である実仁親王が春宮に冊立されると、公定は春宮権亮に任ぜられ、正四位下に昇叙されています。

後三条上皇の崩御後、しばらくは春宮権亮の職務に専念し、叙任の記録が途絶えますが、永保3年（1083年）に蔵人頭、永保4年（1084年）には権左中弁と、白河朝後期になって再び要職に任ぜられるようになります。そして、応徳3年（1086年）には参議として公卿に列しました。

堀河朝では、議政官としての職務の傍ら、皇太后宮権大夫や備前権守・美作権守などを兼帯しました。寛治6年（1092年）には、20年ぶりに昇叙されて従三位となりましたが、後任の参議である源雅俊、藤原宗通、藤原季仲らに権中納言昇進で先を越されるなど、公卿昇格後の昇進は遅れがちでした。承徳2年（1097年）には正三位に至りますが、承徳3年（1099年）7月1日に51歳で薨去しました。

人物

無月宰相

『袋草子』には、白河院が鳥羽殿で9月13日の夜に「池上月」という題で歌会を催した際、公定が月を詠みこまない歌を詠んだため、「無月宰相」と呼ばれるようになったという逸話が記されています。

高松宰相の由来

公定が高松宰相と号したことは、『尊卑分脈』と『袋草子』に記されています。この「高松」とは、高松殿のことであると考えられています。曽祖父である藤原公任の娘が藤原教通に嫁ぎ、信長らを産んだことが知られていますが、道長一家との縁戚関係が生じたことから、公定は高松殿に住んでいたと考えられます。そのため、居所にちなんで「高松宰相」と呼ばれた可能性があります。

官歴

康平3年（1060年） 正月6日：従五位下（氏爵）
康平6年（1063年） 11月9日：侍従
康平7年（1064年） 11月：昇殿
治暦2年（1066年） 2月8日：少納言
治暦4年（1068年） 正月6日：従五位上（少納言）
治暦5年（1069年） 正月27日：正五位下（太皇太后宮当年御給）。9月23日：従四位下（関白譲、先坊傅賞）
延久3年（1071年） 正月28日：従四位上（上東門院延久元年朔旦未給）
延久4年（1072年） 4月6日：斎院長官。日付不詳：散位。12月8日：春宮権亮（春宮・実仁親王）。12月28日：正四位下（上東門院御給）
永保3年（1083年） 正月26日：蔵人頭。2月1日：宮内卿。4月25日：兼春宮亮
永保4年（1084年） 6月23日：権左中弁
応徳2年（1085年） 11月8日：止春宮亮（薨去）
応徳3年（1086年） 11月20日：参議
応徳4年（1087年） 正月25日：兼備前権守
寛治2年（1088年） 12月25日：兼皇太后宮権大夫
寛治6年（1092年） 正月5日：従三位（労）。正月：兼備前権守
承徳2年（1097年） 正月：正三位。正月：兼美作権守
承徳3年（1099年） 7月1日：薨去

系譜

父：藤原経家
母：大江定経の娘
生母不明の子女
男子：藤原公通
男子：宗円
男子：公観
男子：公伊
* 男子：尊胤

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