藤原聖子

藤原聖子の生涯と業績

藤原聖子（ふじわら の せいし、1122年 - 1182年）は、第75代天皇である崇徳天皇の皇后、中宮として知られています。また、近衛天皇の養母であり、女院でもあります。彼女の院号は皇嘉門院（こうかもんいん）です。聖子は、摂政関白太政大臣・藤原忠通の長女であり、母は北政所従一位・藤原宗子という家系に生まれました。

生涯の歩み

聖子は大治4年（1129年）に崇徳天皇に入内し、翌年の大治5年には中宮に冊立されました。この入内は、忠通が摂政である間に行われ、彼は聖子の入内を通じて摂関家の再興を期待していました。しかし、彼女は一人の子女を産むことはなく、代わりに鳥羽法皇の皇子である體仁親王の准母としての役割を果たしました。體仁親王が即位した永治元年（1141年）には、皇太后に就任しています。

また、久安6年（1150年）には院号宣下を受け、皇嘉門院と称されています。聖子は、保元元年（1156年）の保元の乱という激動の時代に直面しました。彼女の夫である崇徳上皇と父忠通が敵対し、上皇は敗北して讃岐国へ配流されることとなります。この時、聖子は板挟みとなり、同年に出家し、清浄恵（せいじょうえ）の名を名乗りました。

さらに、長寛元年（1163年）には髪を剃って再出家し、蓮覚（れんがく）と呼称されています。父の死後、彼女は異母弟の九条兼実の後見を受け、治承4年（1180年）には兼実の嫡男・良通を猶子とし、忠通伝来の財産を譲与しました。この出来事が九条家の家領の基礎となったと言われています。

夫婦関係とその影響

崇徳天皇と聖子の夫婦関係については、女房兵衛佐局への崇徳天皇の寵愛が強かったため疎遠であったという説も存在しますが、正確ではありません。崇徳天皇の在位中、聖子は常に天皇と同じ宮殿に住んでいましたし、譲位後も上皇と頻繁に会っていました。特に、保延6年（1140年）に兵衛佐局が第一皇子を出産した際、聖子と忠通は深い不快感を示したという記録も残っています。

保元の乱で崇徳上皇が讃岐国に配流された際、兵衛佐局は同行しましたが、聖子は都にとどまりました。これは、彼女の立場と身分の違いによるものであり、単に寵愛の程度が関係するものではありませんでした。聖子のように、皇后や中宮、皇太后としての尊位を持つ女性は、通常は上皇に随行することができなかったのです。

最終的に、聖子はその後も朝廷で尊重され、忠通の支持により持ちこたえました。彼女の生涯は、日本の歴史における女性の役割や権力関係の複雑さを浮き彫りにしており、彼女の姿を通して多くの人々が歴史を理解する手助けとなっています。

略歴

以下に藤原聖子の主要な略歴を示します。

• - 保安3年（1122年）： 誕生（父は藤原忠通・母は北政所宗子）
• - 大治3年（1128年）11月9日： 入内前に従三位に叙階
• - 大治4年（1129年）： 1月16日：崇徳天皇に入内、女御宣下
• - 大治5年（1130年）2月21日： 中宮冊立
• - 永治元年（1141年）12月27日： 皇太后
• - 久安6年（1150年）2月27日： 院号宣下、皇嘉門院
• - 久寿2年（1155年）8月14日： 母・宗子没
• - 保元元年（1156年）： 7月10日：保元の乱、7月23日：崇徳院、讃岐国へ遷幸
• - 10月1日： 出家、削髪
• - 長寛元年（1163年）12月26日： 再出家、剃髪
• - 長寛2年（1164年）： 2月19日：父・忠通薨去、8月26日：崇徳院、讃岐で崩御
• - 仁安2年（1167年）5月23日： 封戸を辞退
• - 治承元年（1177年）7月29日： 崇徳院の諡号を奉る
• - 養和元年（1181年）12月4日： 崩御

藤原聖子の生涯を振り返ることで、当時の社会情勢や女性の立場についての理解を深めることができます。

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