藤原顕忠

藤原顕忠（ふじわら の あきただ）

概要

藤原顕忠は平安時代前期から中期にかけて活躍した公卿で、昌泰元年〈898年〉に出生日を迎え、康保2年〈965年〉に逝去しました。彼は藤原北家に属し、左大臣である藤原時平の次男です。官位は従二位・右大臣にまで達し、没後には正二位が贈られました。

経歴

顕忠の経歴は平安時代の政治や文化の流れを映し出しています。醍醐天皇の治世の延喜13年（913年）、彼は従五位下に叙爵され、延喜15年（915年）には周防権守に任命されます。その後も昇進を重ね、延喜19年（919年）には右衛門佐に就任しましたが、しばらく昇進が停滞しました。しかし、延長6年（928年）には久しぶりに正五位下に昇叙されました。

朱雀天皇の時代に入ると、顕忠は更に昇進し、延長8年（930年）には従四位下・右中弁に任命。承平3年（933年）には左中弁、承平6年（936年）には従四位上となり、同年には兄の保忠を喪失し、藤原時平の嫡子として次男の役割を担います。その後、承平7年（937年）には参議に任ぜられ、公卿の位に就きました。

顕忠は天慶4年（941年）に従三位・中納言に昇任し、朱雀朝末期には左衛門督や検非違使別当を務めました。彼は中宮大夫として皇太后・藤原穏子に仕え、藤原家の中でも特に長命を保ちました。村上天皇の時代には大納言を経て、天暦9年（955年）には右近衛大将、天徳4年（960年）に至っては従二位と右大臣に昇進しました。康保2年（965年）、彼は68歳で亡くなり、が遺族には深い悲しみがもたらされました。

人物

顕忠の人柄は非常に謙虚で控えめであったと伝えられています。彼は宴席の設営や外出時の先払いにおいても、異例のほどの質素さを保っていました。このような姿勢が、彼が藤原時平の一族の中で唯一菅原道真の祟りを受けることなく、長命を享受した理由だと噂されました。

彼の生活には多くの逸話があります。その一つに、夜ごと天神を拝むために庭に出ていたことが挙げられます。また、顕忠の家での大饗の際、あまりにも家が粗末であったため、尊者であった実頼が「風情のない所に来てしまった」と思ったものの、引出物として自分の好みの馬が贈られたために喜んだという話もあります。

官歴

顕忠の官歴は非常に多岐にわたります。彼の職務は、主に以下のようにまとめられます：

• - 延喜13年（913年） - 従五位下に叙爵
• - 延喜15年（915年） - 周防権守に任官
• - 延喜17年（918年） - 従五位上に昇進
• - 延長6年（928年） - 正五位下
• - 承平3年（933年） - 左中弁に昇進
• - 天慶4年（941年） - 中納言に昇任し従三位
• - 天徳4年（960年） - 従二位・右大臣にまで昇進

家族

藤原顕忠には家族もおり、父は藤原時平、母は源湛の娘でした。妻は藤原朝見の娘で、子供には長男の藤原元輔の他、数人の男子と女子がいました。彼の子孫は後に江戸時代に出羽国矢島藩の藩主となった生駒氏を名乗ります。

顕忠の業績や人柄は、古代日本の政治と文化の中で確固たる地位を築くための重要な要素であり、彼の存在は歴史において特筆すべきものであると言えるでしょう。

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