藤波清忠

藤波清忠（ふじなみ きよただ）は、室町時代に活躍した公卿であり、神祇大副や伊勢神宮の祭主を務めました。

生涯

藤波清忠は、神宮祭主であった藤波清世の子として生まれ、初めは清宣（きよのぶ）と名乗っていました。彼の生涯は、伊勢神宮祭主の地位を巡る動向と、それに伴う官位の昇進によって特徴づけられます。

応永35年（1428年）4月、当時の祭主であった大中臣通直が亡くなったことを受け、清忠は同年中に祭主の地位を引き継ぎました。その後、彼は神祇権大副にも任じられます。永享3年（1431年）には正三位に叙せられ、永享11年（1439年）には神祇大副へと転任しました。

嘉吉3年（1443年）9月3日、大中臣通直の子である宗直が祭主となりますが、そのわずか17日後の9月20日（1443年10月13日）には、清忠が再び祭主に還任するという異例の事態となりました。文安3年（1446年）4月には再び宗直が祭主となりますが、宝徳2年（1450年）正月に宗直が病で亡くなったため、同年2月5日に清忠が再び祭主に還任しました。寛正元年（1460年）8月には、神祇権大副であった吉田兼名が従二位に昇叙したことを受け、清忠も同日付で従二位に叙せられました。

官歴

正三位・非参議、神祇権大副

永享11年3月18日（1439年5月1日）：神祇大副
寛正元年8月8日（1460年8月24日）：従二位

系譜

父：藤波清世
兄弟：藤波清誠、藤波清基、藤波清郷
妻：不詳
長男：藤波秀忠
次男：大中臣敏忠

このように、藤波清忠は室町時代において、神祇官の要職を歴任し、伊勢神宮の祭主としても重要な役割を果たしました。彼の生涯は、当時の公家社会における地位や権力、そして神祇祭祀のあり方を理解する上で貴重な事例と言えるでしょう。

参考文献

『公卿補任』第三篇（『新訂増補国史大系』所収、吉川弘文館、1974年）

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