虫部

虫部（きぶ）とは

虫部は、漢字を部首によって分類したグループの一つです。康熙字典では214部首のうち142番目に置かれており、6画の部首としては25番目、申集の3番目にあたります。

概要

「虫」という字は、元々「虺（き）」という毒蛇を表す字の本字であり、その形を象ったものです。この「虫」の字の音は「キ（クヰ）」であり、日本語の常用[[漢字]]や中国の簡化字で使用される「虫」は、本来は「蟲」（音はチウ、昆虫の意味）という字の略字として使われています。

部首としての「虫」は、蛇などの爬虫類だけでなく、這って進む動物全般、具体的には昆虫類、節足動物、腔腸動物、環形動物、軟体動物、両生類などに関わることを示します。また、想像上の動物である龍の眷属にも「虫」が使われることがあります。部首の位置としては、漢字の偏や脚に置かれ、左右構造や上下構造を形成します。

虫部には、異体字もいくつか存在します。例えば、上下や左右の構造が異なるもの（蟇と蟆、蟹と蠏など）、部分を変えた異体字（蠹と蠧など）、一部分を省略した字（蝨と虱、蠎と蟒など）、表外字の拡張新字体（蠅と蝿、蠣と蛎など）があります。

また、現在虫部に属する漢字の中には、「螽（いなご）」「蠢（うごめく）」のように下に「虫」が2つ並んだものがあり、これらは元々「䖵（こん）」を意符とする漢字で、『説文解字』では「䖵部」に属していました。虫部は、このように「虫」または「䖵」を構成要素として持つ漢字を収録しています。

部首の通称

各言語における虫部の通称は以下の通りです。

日本: むし、むしへん
中国: 虫字旁、虫字底
韓国: 벌레훼부 (beolle hwe bu、ムシの虫部)、벌레충부 (beolle chung bu、ムシの蟲部)
英米: Radical insect

部首字

虫

中古音

広韻: 許偉切、尾韻、上声
詩韻: 尾韻、上声
三十六字母: 暁母

現代音

普通話: ピンイン: hǔi 注音: ㄏㄨㄟˇ ウェード式: hui3
広東語: Jyutping: wai2 イェール式: wai2
日本語: 音: キ（クヰ）（漢音・呉音）
* 朝鮮語: 音: 훼(hwe) 訓: 살모사（salmosa、毒蛇）、벌레（beolle、むし）

例字

(例字は省略)

注

日本においては、虫偏の異体字が慣用的に使われていることが多く、表外漢字においても康熙字典体ではなく、慣用的な字体が印刷標準字体として採用されることがあります。ここでは、康熙字典体に従い、慣用字体は括弧内に示しています。

最大画数

𧖤、𧖥、𧖦

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