血まみれの安息日

ブラック・サバス『血まみれの安息日』

『血まみれの安息日』(Sabbath Bloody Sabbath) は、イギリスのヘヴィメタルバンド、ブラック・サバスが1973年に発表した5枚目のスタジオ・アルバムです。本作は、バンドの音楽性を新たな領域へと押し広げ、創造性と実験精神に満ちた作品として、今日まで高い評価を受けています。

概要

前作『ブラック・サバス4』の制作後、バンドは深刻なスランプに陥り、新曲のアイデアが全く浮かばない状況に苦しみました。しかし、ギタリストのトニー・アイオミが偶然生み出したギターリフが、バンドを救うきっかけとなりました。このリフは、後にタイトル・トラックとなる「血まみれの安息日」で使用され、「ブラック・サバスを救ったリフ」として知られています。

このアルバムは、従来のブラック・サバスの音楽性から大きく変化を遂げました。ヘヴィなギターリフを基調とする楽曲に加え、シンセサイザーやオーケストラによる編曲を大胆に導入し、プログレッシブな要素を取り入れたのです。特に、タイトル曲「血まみれの安息日」は、重厚なリフとドラマティックな展開が特徴的で、アルバムの幕開けを飾るにふさわしい楽曲です。アルバムの最後を飾る「スパイラル・アーキテクト」は、ストリングスが効果的に使用され、荘厳な雰囲気を醸し出しています。

「サブラ・カダブラ」には、イエスのキーボードプレイヤーだったリック・ウェイクマンがゲスト参加しています。ウェイクマンは、オジー・オズボーンに誘われてレコーディングに参加したものの、スタジオには大量のアルコールと泥酔したメンバーがいたというエピソードを語っています。具体的な指示がないまま、ウェイクマンはその場で即興的にキーボードを演奏し、その斬新なアイデアが楽曲に活かされました。

カバー

『血まみれの安息日』は、数多くのアーティストによってカバーされています。スラッシュメタルバンドのアンスラックスは、EP盤『アイム・ザ・マン』に「血まみれの安息日」のカバーバージョンを収録。メタリカは、カバー集『ガレージ・インク』で「サブラ・カダブラ」をカバーし、中間部では「ナショナル・アクロバット」の一部を演奏しています。カーディガンズは、デビューアルバム『エマーデイル』で「血まみれの安息日」をカバー。他にも、ブルース・ディッキンソン、ゴッドスピード、アモン・アマースなどがこのアルバムの楽曲をカバーしています。

収録曲

1. 血まみれの安息日 - "Sabbath Bloody Sabbath"
2. ナショナル・アクロバット - "A National Acrobat"
3. フラッフ - "Fluff"
4. サブラ・カダブラ - "Sabbra Cadabra"
5. 生への自殺 - "Killing Yourself to Live"
6. お前は誰だ？ - "Who Are You?"
7. ルッキング・フォー・トゥデイ - "Looking for Today"
8. スパイラル・アーキテクト - "Spiral Architect"

参加ミュージシャン

オジー・オズボーン - ボーカル、シンセサイザー
トニー・アイオミ - ギター、ピアノ、シンセサイザー、オルガン、フルート
ギーザー・バトラー - ベース、シンセサイザー、メロトロン
ビル・ワード - ドラムス、ティンパニ
[リック・ウェイクマン]] - キーボード、シンセサイザー、[[ピアノ]
ウィル・マローン - 指揮、アレンジャー

『血まみれの安息日』は、ブラック・サバスの音楽性を新たな次元へと引き上げた、革新的なアルバムです。ヘヴィメタルという枠にとらわれず、プログレッシブな要素や実験的な試みを取り入れた本作は、多くのミュージシャンに影響を与え、今日でも色褪せることのない輝きを放っています。

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