衣笠城

衣笠城の概要

衣笠城（きぬがさじょう）は、神奈川県横須賀市に位置する山城で、相模国三浦郡衣笠町にあたります。この城は、横須賀市の指定史跡となっています。衣笠城は、永承6年（1051年）から康平5年（1062年）の間、前九年の役での戦功によって源頼義が三浦氏の祖、三浦平大夫為通に相模国三浦の領地を授けたことから始まります。康平5年には、為通が衣笠山の山麓に居館を築いたことが衣笠城の起源とされています。

その後、この城は三浦氏の本拠地として重要な役割を果たし、三浦氏の勢力拡大に伴い増築されていきました。治承4年（1180年）には、源頼朝が伊豆で平家を打倒するために挙兵しましたが、三浦義澄は頼朝を支援しました。しかし、義澄は石橋山の戦いで敗北し、頼朝軍と合流できずに戻る途中、平家方の畠山重忠に攻撃され、衣笠城は落城しました。その際、義澄の父、義明が討ち死にし、三浦一族は逃れることとなります。

その後、鎌倉幕府が成立し、衣笠城は再び三浦氏の本拠地となりました。しかし、宝治元年（1247年）の宝治合戦で三浦党が敗北すると、再び廃城となってしまいました。

衣笠城の遺構

2020年現在、衣笠城跡と呼ばれる衣笠山には小規模な公園が整備されていますが、遺構としてはわずかに井戸や堀跡が残っているのみです。周囲の寺院には三浦一族に関する歴史的な事跡が点在しており、特に大善寺や義明の墓所である満昌寺などが関連しています。さらに、平作川に沿って久里浜に至る地域には、衣笠城の支城とされる平作城、大矢部城、小矢部城、佐原城、怒田城などの跡も残っています。

近年、衣笠城は山城として認識されていますが、研究者の齋藤慎一は、「中世前期」の史料に見られる「城」の意味についても考察を行っています。齋藤によれば、当時の「城」という言葉は武士の居所や墓地、寺社などを含む広義の意味を持ち、衣笠城合戦の際の「衣笠城」も山城としてだけでなく、三浦氏の本拠があった一帯全体を指したものとされています。

観光スポット

衣笠城跡の近くには、衣笠山公園があります。この公園は桜の名所として知られ、「日本さくら名所100選」に選ばれています。また、城山への道を進むと大楠山の山頂に至る登山道があります。

交通アクセス

衣笠城を訪れる際の交通手段として、以下の方法があります:

• - JR衣笠駅から徒歩で約8分、バスターミナルから京浜急行バスに乗り、衣笠城址バス停で下車、さらに徒歩で15分。
• - 京浜急行電鉄本線の横須賀中央駅から、バスで衣笠城址バス停下車後、徒歩で15分。
• - 車で訪れる場合は、横浜横須賀道路の衣笠ICから衣笠城址前交差点を左折。

本丸跡は大善寺の裏手にありますが、地図上では位置がずれていることがあるため注意が必要です。衣笠城跡は歴史的背景を学びながら散策するのに適した場所です。

もう一度検索