西武豊島線

西武豊島線は、東京都練馬区の練馬駅と豊島園駅を結ぶ、西武鉄道の鉄道路線です。営業キロ1.0kmと、西武鉄道の路線の中で最も短い路線として知られています。路線名に「豊島」とありますが、全線が練馬区内にあり、豊島区には路線は存在しません。駅ナンバリングで使用される路線記号は「SI」です。

路線データ

路線距離（営業キロ）：1.0km
軌間：1067mm
駅数：2駅（起終点駅含む）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：全線（直流1500V架空電車線方式）
閉塞方式：自動閉塞式
最高速度：60km/h

歴史

豊島線は、現在の西武鉄道の前身である武蔵野鉄道によって、としまえん（当時は豊島園）への旅客輸送を目的に敷設されました。豊島園の開園前より臨時列車を運行するなど協力関係にあり、開業後は一貫してアクセス路線として機能しました。しかし、開業当初は資本関係はなく、武蔵野鉄道が豊島園の経営に参加したのは1939年、買収により鉄道と遊園地の総合的な経営が実現したのは1941年です。

1991年には、本路線と並行する形で都営地下鉄12号線（現在の大江戸線）が開業しました。特に1997年の大江戸線の新宿延伸以降、豊島線の利用者数は大幅に減少しています。

年表

1926年（大正15年）
9月20日：鉄道営業免許申請
10月30日：鉄道免許状下付
12月9日：工事申請
1927年（昭和2年）
6月28日：工事認可
9月5日：着工
10月15日：武蔵野鉄道豊島線として、練馬 - 豊島間1.0kmが開業
1933年（昭和8年）3月1日：豊島駅を豊島園駅に改称
1945年（昭和20年）9月22日：西武農業鉄道豊島線となる
1946年（昭和21年）11月15日：西武鉄道豊島線となる

運転

2022年3月改正時点では、豊島園行きの始発列車が練馬駅発の線内運転である以外は、すべて池袋線池袋駅 - 豊島園駅間を直通する各駅停車です。全列車が8両編成で運行され、日中は1時間に4本が運行されています。

練馬駅では、豊島園駅発着の池袋線直通列車と西武有楽町線直通列車（主に各駅停車）が接続しており、同一ホームで地下鉄有楽町線・副都心線方面直通列車との乗り換えが可能です。ただし、ダイヤの乱れが発生した際には、地下鉄との直通運転が中止されるため、豊島線も運転を見合わせる場合があります。その際には、振替輸送として都営地下鉄大江戸線の利用が推奨されます。

駅一覧

全駅が東京都練馬区内に所在しています。

練馬駅 (SI06)
豊島園駅 (SI39)

池袋 - 練馬駅間の営業キロは6.0kmです。駅番号は2013年3月までに順次導入されました。

その他・エピソード

池袋線からの直通列車はすべて各駅停車ですが、1988年までは平日朝の下りに池袋を発車すると途中停車駅は練馬駅のみの準急列車が設定されていました。これは、利用客の急増に車両の増備が間に合わない状況を一時的に緩和するための措置でした。

豊島園駅が8両編成までしか対応できないため、6000系・20000系・30000系・40000系の10両固定編成は入線できません。特急用電車は、団体臨時で5000系・10000系の入線実績があります。なお、豊島線直通の普通列車が運行される区間（池袋 - 豊島園間）で10両編成に対応していないのは豊島園駅のみです。また、練馬駅の構造上、地下鉄線と直通する西武有楽町線との列車の相互乗り入れは不可能です。

練馬駅の高架工事のため、1988年12月から1998年 3月26日の間は、池袋線直通が中止され、全列車が練馬駅で折り返し運転となっていました。さらに、1997年8月2日からは、池袋線との線路が完全に遮断され、101系の4両編成と6両編成が線内に封じ込められた状態で運用されました。それ以前にも、練馬駅が仮設ホームに移る際に、池袋線との接続が断たれ、車両が封じ込めとなった時期がありました。

2008年5月11日の母の日には、「母の日に母娘の二人で行く庭の湯」というイベントが開催され、30000系38103編成が池袋から豊島園まで特別列車として運行されました。車内にはカーネーションの装飾やぬり絵の展示が行われました。

2008年6月14日ダイヤ改正以前は、4両編成の線内折り返し列車が運行されていました。池袋線は10両または8両編成で運行されますが、豊島線内折り返し運用は4両編成で十分でした。また、高架化工事完了後の練馬駅折り返し用引き込み線は4両までしか対応できませんでした。そのため、線内折り返し用の4両編成は練馬駅まで回送されてから運用に投入されていました。ただし、練馬発の始発列車のみは8両編成で練馬駅3番ホームから発車します。

2011年の東日本大震災による節電ダイヤでは、一時的に線内折り返し運用が復活しました。この際には、方向幕が白地コマ表示の2000系が投入されました。

2023年6月3日に開催された「西武・電車フェスタ2023 in 武蔵丘車両検修場」では、「特急レッドアロー号で行く！親子で西武・電車フェスタ直通ツアー」が企画され、10000系特急車両による豊島園駅発-武蔵丘車両検修場行きの貸切列車が設定されました。

東京23区内の定期的に旅客列車が走る鉄道路線としては、京成金町線・東武大師線とともに、数少ない全線単線の路線です。ただし、両線を運行する列車はいずれも線内完結の折り返し運行が原則となっています。

脚注

注釈

特筆すべき注釈はありません。

出典

 西武鉄道公式サイト
各種鉄道雑誌、書籍

関連項目

日本の鉄道駅一覧

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