西沢保

西澤保（にしざわ たもつ）

西澤保は、1950年生まれの日本の思想史家であり、経済思想史を専門とする。現在は帝京大学経済学部教授を務め、一橋大学名誉教授の称号も持つ。

人物・経歴

西澤は、1974年に中央大学商学部商業貿易学科を卒業後、1979年に一橋大学大学院社会学研究科修士課程を修了。1983年には同大学院の博士課程単位を取得した。指導教官は都築忠七であった。2008年には、論文「マーシャルと歴史学派の経済思想」により、一橋大学から博士（経済学）の学位を授与された。審査員は井上義朗、斎藤修、蓼沼宏一が務めた。

職歴としては、1983年に一橋大学社会学部の助手としてキャリアをスタート。1985年に大阪市立大学経済学部の専任講師、1990年に一橋大学経済研究所の助教授を経て、1993年に同研究所の教授に就任した。2007年には一橋大学経済研究所所長も務めた。2014年に一橋大学を定年退職し、名誉教授となった後、帝京大学経済学部の教授に就任し、現在に至る。

西澤の専門は、19世紀から20世紀にかけてのイギリスを中心とした経済思想史であり、特に、その時代の経済思想がどのように形成され、社会に影響を与えたのかを研究している。また、日本の経済学者である福田徳三の研究も行っており、日本における経済思想の発展にも貢献している。経済学史学会の幹事や、福田徳三研究会の代表を務めるなど、学会や研究会でも中心的な役割を担っている。

研究内容

西澤の研究は、経済思想史という分野において、歴史的な視点から経済理論や政策を分析することに重点を置いている。特に、19世紀から20世紀のイギリス経済思想史に焦点を当て、当時の経済学者たちの思想がどのように形成され、社会に影響を与えたかを詳細に分析している。また、福田徳三など、日本の経済学者の研究も手がけ、日本における経済思想の発展にも貢献している。

著作

西澤は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は広く知られている。主な著書としては、以下のようなものがある。

『近代日本の百貨店広告とフアツシヨン』（一橋大学、1993年）
『異端のエコノミスト群像：19世紀バーミンガム派の経済政策思想』（岩波書店、1994年）
『戦後日本経済と経済同友会』（岩波書店、1996年、岡崎哲二、菅山真次、米倉誠一郎と共著）
『デモクラシーの崩壊と再生：学際的接近』（日本経済評論社、1998年、南亮進、中村政則と共編）
『経済学者・官僚エコノミストと政策形成の史的研究-イギリスの雇用政策と産業合理化を中心にー』（一橋大学、1999年）
『イギリス100年の政治経済学：衰退への挑戦』（ミネルヴァ書房、1999年、服部正治と共編著）
『経済政策思想史』（有斐閣、1999年、服部正治、栗田啓子と共編）
『百貨店の文化史：日本の消費革命』（世界思想社、1999年、山本武利と共編）
『ケンブリッジ学派の多様性とその展開：思想、理論、政策の複合的研究』（一橋大学、2002年）
『マーシャルと歴史学派の経済思想』（岩波書店、2007年）
『回想の都留重人：資本主義、社会主義、そして環境』（勁草書房、2010年、尾高煌之助と共編）
『創設期の厚生経済学と福祉国家』（ミネルヴァ書房、2013年、小峯敦と共編著）

また、翻訳書も手がけており、以下のようなものがある。

G.C.ピーデン『ケインズとイギリスの経済政策：政策形成に「ケインズ革命」はあったか？』（早稲田大学出版部、1996年）
トマス・ロバート・マルサス著『マルサス北欧旅行日記』（未來社、2002年、小林時三郎と共訳）
ロジャー・E・バックハウス, ブラッドリー・W・ベイトマン『資本主義の革命家ケインズ』（作品社、2014年、監訳）

これらの著作は、西澤の幅広い知識と深い洞察力を示しており、経済思想史研究において重要な貢献を果たしている。

外部リンク

西沢保 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
論文一覧（KAKEN、CiNii、IRDB）
西沢保 - J-GLOBAL
* 西沢保 - researchmap

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