西浜松駅

西浜松駅

概要

西浜松駅（にしはままつえき）は、静岡県浜松市中央区森田町に位置する、日本貨物鉄道（JR貨物）が運営する貨物駅です。東海道本線の浜松駅と高塚駅の間に設けられています。

この駅は、当時慢性的な貨物取扱量の増加に悩んでいた浜松駅の機能を分散させること、そして東海道本線の高架化計画を推進することを目的に建設され、開業しました。特に、浜松市が駅設置に伴う換地として、浜松駅前の土地を取得し、現在の複合施設「アクトシティ浜松」が建設されるきっかけの一つとなった点も特筆されます。

歴史

西浜松駅は、1971年（昭和46年）4月26日に、浜松駅で扱っていた貨物業務を移管・分離する形で営業を開始しました。開業後、1974年（昭和49年）10月1日からは小荷物の取扱いも始まりましたが、わずか4年後の1978年（昭和53年）10月2日には小荷物取扱が廃止されています。

鉄道貨物輸送の変化に伴い、1984年（昭和59年）2月1日には自動車輸送基地が閉鎖されました。国鉄分割民営化により、1987年（昭和62年）4月1日からはJR貨物の駅として新たなスタートを切っています。

かつてはセメント輸送の拠点でもあり、東藤原駅からのセメント列車が到着していましたが、この輸送は2007年（平成19年）3月17日の到着便をもって廃止されました。また、2025年（令和7年）4月1日には、構内にコンテナと一般トラックの積替ステーションが開設される予定です。

駅構造

駅の構内は広大で、東海道本線の上下本線を挟むように南北に複数の側線が配置され、東西に長く広がっています。構内の中央付近は、東海道新幹線の高架線が東西方向に横断しています。

列車が発着する着発線は構内の西側にまとめられており、下り線（高塚駅方面）と上り線（浜松駅方面）がそれぞれ3本ずつあります。下り線は本線の南側、上り線は本線の北側に並行して設けられています。これらの着発線からは、さらに数本の側線や仕分線が分岐しています。

下り着発線の南側からは、コンテナホームやセメントターミナル浜松営業所へ向かう側線が分岐しています。セメントターミナルには2本の荷役線がありますが、2007年3月以降は使用されていません。コンテナホームは、東海道新幹線の高架をくぐった先の駅東側に広がっており、合計5面のホームと7本のコンテナ荷役線が設けられています。ホームの長さはおよそ200メートルです。かつて、セメントターミナルよりも東側の新幹線南側には、自動車輸送基地が設置されていた線路がありましたが、現在はパチンコ店などが立地しています。また、途中には浜松倉庫の西浜松倉庫への引込み線も存在しました。

一方、上り着発線の北側からは、東海旅客鉄道（JR東海）の浜松レールセンターへ続く側線が分岐しています。この側線から、かつては日本たばこ産業浜松工場への専用線が分岐していましたが、2014年3月末に廃止されました。上り着発線から本線に沿って東へ進み、新幹線の高架をくぐった先は浜松運輸区となっており、ここからJR東海浜松工場への引込み線が分岐しています。なお、上り着発線からコンテナホームへは、本線と交差するため直接進入することはできませんが、高塚駅方面と上り着発線を結ぶ単線から分岐する地下通路線を経由することで、ホーム付近へアクセスすることが可能です。

駅舎は、コンテナホーム南側を通過する東海道新幹線の高架下に設置されています。

取扱貨物

西浜松駅では、主にコンテナ貨物と車扱貨物を取り扱っています。

コンテナ貨物としては、一般的な12フィートコンテナのほか、20フィートや30フィートの大型コンテナ、さらに20フィートのISO規格海上コンテナも取り扱いが可能です。過去には、日本たばこ産業専用線を発着するコンテナも扱っていました。

車扱貨物としては、JR東海が使用する東海道新幹線用のレールが、福岡県の黒崎駅から発送されて到着します。かつては、三重県の東藤原駅や岐阜県の本巣駅からセメントが輸送されていましたが、それぞれ2007年3月、2006年3月をもって廃止されています。また、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の取扱い許可も有しています。

当駅は、静岡県東部の豊橋オフレールステーションへの貨物の中継駅としての役割も担っています。

貨物列車

2014年（平成26年）3月15日改正時点の情報によると、コンテナ車で組成された高速貨物列車は、1日に下り方面へ6本、上り方面へ8本停車します。このうち、上下それぞれ1往復は当駅を始発・終着とする列車です。主な行先は、下りが名古屋貨物ターミナル駅や稲沢駅、遠くは広島貨物ターミナル駅、福岡貨物ターミナル駅など西日本方面です。上りは隅田川駅、宇都宮貨物ターミナル駅、秋田貨物駅、東青森駅、札幌貨物ターミナル駅など、東日本から北海道まで広範囲に及びます。これらの定期列車のほか、臨時の高速貨物列車や特定の貨物を運ぶ専用貨物列車も設定されています。

鉄道による貨物輸送に加え、豊橋オフレールステーションとの間には、1日に3往復のトラック便が運行されており、貨物の集配機能を補っています。

利用状況

「静岡県統計年鑑」に掲載されているデータによると、2021年度（令和3年度）における西浜松駅の貨物取扱量は、発送が148,381トン、到着が126,090トンとなっています。この数値は、2000年度（平成12年度）以降の貨物輸送推移の一部として記録されています。

駅周辺

駅周辺には、古くからの伊場遺跡や、鉄道関連施設としてJR東海浜松工場があります。また、セメントターミナル浜松営業所は、太平洋セメントと住友大阪セメントの出荷拠点として機能しており、構内には特徴的な塗装のタキ1900形貨車が留置されている様子が見られます。その他、物流関連施設としてヤマト運輸静岡若林営業所などが立地し、主要道路である国道257号も近くを通っています。

隣の駅

東海旅客鉄道（JR東海） 東海道本線
浜松駅 - 西浜松駅 - 高塚駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
日本の貨物駅

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