角田義隆

角田義隆：海軍から航空自衛隊へ、異例の昇進を遂げた航空幕僚長

角田義隆（1919年12月15日 - 1988年3月19日）は、日本の海軍軍人、そして航空自衛官です。彼は、海軍機関学校の出身でありながら、帝国海軍と自衛隊を通じて、大将に相当する航空幕僚長にまで昇りつめた唯一の人物として知られています。

海軍時代：整備の道を歩む

熊本県出身の角田は、陸軍士官学校の受験に失敗後、海軍機関学校に進みました。卒業後は練習艦隊旗艦「香取」に乗り組み、遠洋航海に参加しましたが、ヨーロッパの戦局悪化により、航海は途中で中止となりました。その後、海軍練習航空隊整備学生となり、航空整備の道へと進みます。

太平洋戦争中、角田は航空整備将校としてフィリピンやソロモン諸島などの前線基地を転戦しました。1943年には操縦への転換を命じられましたが、体調を崩し、再び地上勤務に戻りました。終戦は木更津の第三航空艦隊で迎えています。

自衛隊時代：航空幕僚長へ

戦後、公職追放により一時実家で農業に従事しましたが、1951年に警察予備隊に入隊。1954年に航空自衛隊が発足すると同時に転官し、航空整備の分野で活躍します。アメリカへの留学を経て、浜松の整備学校で幹部課程を創設するなど、人材育成にも尽力しました。

その後、人事畑を歩み、大病を患いながらも、1969年には第8航空団司令として現場に復帰しました。整備という裏方の仕事が長かった角田にとって、飛行部隊の指揮官となることは長年の夢であり、その時の感激を「昔の希望を叶えてくれたような気がした」と語っています。

その後、中部航空方面隊司令官を経て、第12代航空幕僚長に就任。在任中には婦人自衛官（WAF）制度を発足させました。また、ミグ25事件発生時には、入院中にもかかわらず対応にあたり、機体の調査や移送について尽力しました。

退官時には、次期主力戦闘機をF-15とすることを決定しました。

角田義隆の生涯を年譜で辿る

1940年：海軍機関学校卒業、海軍機関少尉候補生として練習巡洋艦「香取」乗組
1941年：海軍機関少尉に任官、海軍練習航空隊整備学生
1942年：海軍機関中尉に進級、高雄海軍航空隊、第582海軍航空隊で分隊長を歴任
1943年：海軍練習航空隊特修科学生、海軍大尉に進級
1944年：第131海軍航空隊、第752海軍航空隊で分隊長を歴任
1945年：偵察第102飛行隊分隊長
1951年：警察予備隊に入隊
1954年：航空自衛隊に転官
1962年：1等空佐に昇任
1964年：航空幕僚監部人事教育部人事課人事第1班長
1965年：航空幕僚監部人事教育部人事課長
1969年：第8航空団司令 兼築城基地司令、空将補に昇任
1970年：航空幕僚監部人事教育部長
1972年：空将に昇任、中部航空方面隊司令官
1974年：第12代航空幕僚長
1976年：退官、石川島播磨重工業航空事業本部顧問に就任
1988年：心不全で逝去、正四位、勲三等旭日中綬章が追贈

栄典

角田の功績は、国内外からも高く評価され、以下の勲章が授与されました。

イタリア共和国功労勲章グランデ・ウッフィチャーレ
レジオン・オブ・メリット・コマンダー
勲三等旭日中綬章

角田義隆は、海軍から自衛隊へと、激動の時代を生き抜き、日本の航空戦力発展に大きく貢献した人物です。その類まれなる経歴と功績は、後世に語り継がれるでしょう。

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